れている 5,6)。しかし,CmabのCRTに対する上乗せ効果は示されておらず 7),毒性の面からも推奨されない。さらに最近の報告では,p16陽性中咽頭癌に対して,Cmab併用放射線療法はCDDP併用CRTに比べて有効性の面で劣っており,毒性面でのメリットも乏しいことが示されており,その使用は推奨されない 8,9)(➡p.182:CQ5-2)。CRTにおいては,RT単独と比較して抗がん薬の併用により毒性が増強されるため,休止による治療期間の延長をきたしうる。これが治療成績の低下を招くことが指摘されており,予定通りの治療完遂には十分な支持療法を提供できる多職種協働のチーム医療体制が必須である。3)導入化学療法切除可能例における初回治療として用いられることがあり,その目的は大きく二つに分けられる。一つは,ICTにより十分な腫瘍縮小が得られれば手術ではなくRT主体の保存的治療を選択する臓器温存目的である。もう一つは,特に切除不能局所進行例を対象にICTを上乗せすることでCRTの更なる治療効果の増強を目的とするものである。具体的には,臓器温存目的の場合には,喉頭全摘を必要とする喉頭癌・下咽頭癌においては,喉頭温存を目的に以前よりICTの有用性が報告されている 10,11)(➡p.245:CQ12-1)。喉頭温存を目指した場合の導入化学療法の評価の主体は原発巣であり,喉頭癌・下咽頭癌ではCR/PRなど十分な腫瘍縮小が得られれば引き続きRTを行ったとしても,手術と比較しても生存成績を悪化させないことが報告されている。しかし,十分な縮小に至らない場合には手術への移行が推奨される点は注意が必要である。一方で,切除不能局所進行例において導入化学療法をCRTに上乗せすることが,標準治療であるCRTを生存成績において上回った報告は少なく 12-17),この場合のICTの有用性は限定的であり積極的には推奨できない(➡p.247:CQ12-2)。ICTとして最も適切な治療については,CDDP+5-FU(PF)とドセタキセル(DTX)を加えたDTX+CDDP+5-FU(TPF)との比較試験およびPFとTPFを比較したメタアナリシスからTPFが優れていることが示されている 18-21)。しかし,TPFの毒性は強く,制吐療法,血液毒性・感染症対策を十分に行い,治療強度を維持することが重要である。なお,導入化学療法後の手術以外の治療としてRTとCRTのどちらが適切なのか,またRTに併用する抗がん薬としてCDDP,カルボプラチン(CBDCA),Cmabのいずれが適切なのかについては明確でない。また,頭頸部癌においては,術前化学療法で縮小させても切除範囲を変えることはできないため縮小手術は成立しておらず,治療選択肢としては推奨されない。実際に,予後改善目的で口腔癌を対象にTPF後の手術と手術先行とが比較されたが,術前化学療法の有効性は示されなかった 22)(➡p.161:CQ2-6)。4)術後治療アジュバント療法は手術後やRT/CRT後など根治的局所治療後に再発割合の低下と生存成績の向上を目的として行われる。現時点で外科的治療後の抗がん薬単独でのエビデンスは18
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