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Ⅳ-13. 放射線治療CQ13-1頭頸部扁平上皮癌術後において術後化学放射線療法は推奨されるか?また,術後化学放射線療法において,適切なシスプラチン投与法は何か?推 奨1)頭頸部扁平上皮癌術後で顕微鏡的断端陽性もしくは節外浸潤陽性の患者(再発高リスク症例)に対して,シスプラチンを用いた同時併用化学放射線療法を行うよう推奨する。2)再発高リスク症例を対象とした術後化学放射線療法においては,毎週投与(40mg/m2)によるシスプラチンを併用することを推奨する。推奨の強さ:1)強く推奨する 2)強く推奨するエビデンスの確実性:1)A 2)B合意率:100%解 説局所進行頭頸部扁平上皮癌術後の予後は悪く,手術単独と手術+術後放射線治療(radia-tion therapy:RT)を比較した質の高い前向きランダム化比較試験の報告はないものの,1970年代より術後RTが広く行われてきた。これら術後照射症例の後ろ向き解析から,予後不良因子として,顕微鏡的断端陽性,節外浸潤陽性,進行したT因子,進行したN因子,神経周囲浸潤,静脈侵襲,リンパ管侵襲などが知られている。再発リスクが高いと考えられる症例には,化学療法が併用される。本CQにおいては,術後化学放射線療法の適応について解説する。術後RT単独に対する化学療法の上乗せ効果を検証した前向き第Ⅲ相ランダム化比較試験が複数報告されている。EORTC22931試験では334名に対して術後RT単独と3週に1度投与する(3-weekly)シスプラチン(CDDP)(100mg/m2)同時併用化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy:CCRT)を比較するランダム化比較試験が行われたが,全生存期間(overall survival:OS)[ハザード比(hazard ratio:HR)0.70(95%信頼区間:cofidence in-terval:CI 0.52-0.95),p=0.02],無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)[HR 0.75(95%CI 0.56-0.99),p=0.04],ともにCCRTで有意に良好であった 1)。一方,RTOG9501試験では459名に対して同様に術後RT単独と3-weekly CDDPによるCCRTの比較がなされ,無病生存期間(disease-free survival:DFS)[HR 0.78(95%CI 0.61-0.99),p=0.04]はCCRTで有意に良好であったが,OS[HR 0.84(95%CI 0.65-1.09),p=0.19]は有意差を認めなかった 2)。この両試験の対象として重複した顕微鏡的断端陽性と節外浸潤陽性の2つの再発高リスク因子をもつ患者の割合は,EORTC試験が70%であったのに対し,RTOGは59%であった。2試験を統合解析した結果,OSに対するHRは0.776であり,CCRTはRT単独よりも有意に良好であった 3)。これらランダム化比較試験を含んだメタアナリシスが報告されている。Winquistらによる4つのランダム化比較試験 1,2,4,5)の解析では,OSがRT単独よりもCCRTで有意に良好であった[リスク比(risk ratio:RR)0.80(95%CI 0.71-0.90),p=0.0002] 6)。Ⅳ-13. 放射線治療 261Ⅳ

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