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第2章41CQ適切な療育開始時期はいつかⅢ-3Ⅲ.難聴診断後の療育背景先天性難聴児の良好な言語発達には早期診断・早期介入が重要であり,米国のEarlyHearingDetectionandIntervention(EHDI)プログラムでは生後1カ月までに新生児聴覚スクリーニング(新スク),3カ月までに難聴確定診断,6カ月までに適切な早期介入を実施する「1-3-6ゴール」の提言がなされ1),現在,この指針は多くの国で推奨されている。2019年版のEHDIプログラムは「1-3-6ゴール」を主体として推奨しながらも,新たに「1-2-3ゴール」への前倒しについても言及しており,診断後速やかに,生後3カ月から遅くとも生後6カ月までに介入を開始するよう説明している。この早期介入プログラムはFamily-CenteredPrinciple(家族中心の原則)をベースとしており,それぞれの家族の尊厳・敬意,情報共有,参加,協調が求められる。益と害の評価患者が受ける利益:速やかに適切な療育を受けることにより,より良好な言語発達につながる。患者が受ける害・不利益:療育に通う負担。益と害のバランス:適切な療育を早期に開始することで,より良好な言語発達が可能となり,益は害よりはるかに大きい。患者の希望:十分な説明と同意が必要である。例外規定:なし。解説「1-3-6ゴール」の提言がなされるように,早期診断後に速やかに介入を受けた難聴児は,遅れて介入を受けた難聴児よりも長期的にも優れた言語的成果(語彙の発達,言語理解,言語表出,構文,構音)を示すというエビデンスは増えている1)。Kennedyらは120人の両側先天性難聴児の前向きコホート研究で,平均7.9歳時点の言語力を評価し,生後9カ月までに難聴が確定した子どもは,それ以降に確定した子どもと比較して有意に言語力が高かったと報告している2)。Mayneらは難聴児202人の語彙力を評価し,6カ月までに補聴器推奨難聴確定診断後,なるべく早期(生後3カ月まで,遅くとも生後6カ月まで)に療育を開始する。推奨の強さ強い推奨エビデンスの質B

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