る3)。20Ⅰ.新生児聴覚スクリーニングCQ新生児聴覚スクリーニングに用いる最適の機器は何かⅠ-1第2章クリニカルクエスチョン(CQ)背景新スクにより,難聴児を早期に発見し,早期に療育を開始することは言語発達,コミュニケーション能力の向上をもたらし,児のQOLを高める可能性がある1)。『産婦人科診療ガイドライン・産科編2020』では,「インフォームドコンセントを取得したうえで聴覚スクリーニング検査を実施し,母子手帳に結果を記載する(推奨レベルB)」とし,新生児早期に機器を用いた聴覚スクリーニングを推奨している2)。聴覚検査の方法として聴性脳幹反応(auditorybrainstemresponse:ABR)が1970年代に開発され用いられてきた。これは聴覚伝導路の電気反応を記録するもので,自覚的聴力測定では反応の有無を的確に表すことのできない新生児や乳児においても測定できる客観的な方法で,難聴児の早期発見に役立ってきた。ABRは非常に微弱な電流を頭蓋の外から記録するものであり,被検者の少しの動きも影響するため,新生児では鎮静や防音室で熟練者による検査を必要とし,検査時間も約30分と長く,結果判定にも経験を要するためスクリーニングに向く検査とはいえない。その後,ABR解析を自動で行う自動聴性脳幹反応(auto-matedABR:AABR)が開発された。これは新生児から発生したABRをあらかじめ検査機器に登録されている正常波形とパターンマッチング法で比較するものであり,検査時間が非常に短く,簡便で自然睡眠での記録が可能な点からスクリーニングに適しているといえ益と害の評価患者が受ける利益:難聴の有無を高感度で正確に効率よく診断でき,オーディトリニューロパチースペクトラムの誤診率も低いことから,速やかに適切な介入,治療を行うことができる。患者が受ける害・不利益:進行性や遅発性の難聴は発見できないことがあるため,その後推奨新生児聴覚スクリーニング(新スク)には自動聴性脳幹反応(AABR)が最適である。推奨の強さ強い推奨エビデンスの質B
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