た9)。このデータベースは我が国で行われたCIのほぼ全例のデータが含まれていて,その第1章)件(数耳術手201720152013201120092007200520032001199919971995199319911989198701985以上のことなどを踏まえて,本GLは,難聴児が早期診断,早期介入(治療,療育)によって適正な言語,特に音声言語を獲得することを支援する目的で作成された。これにより難聴児の保護者や療育従事者が難聴児の療育に関する様々な選択肢の中から,難聴児の状態,年齢,環境等に応じてエビデンスに基づいた最適の療育方法を選択・実践する参考になることが期待される。近年我が国の先天性難聴に対する診療体制は,現在すでに全国で87.6%の新生児に実施されている新生児聴覚スクリーニング(新スク)に代表されるように充実しており8),そのレベルは先進国にも匹敵するものとなっている。また補聴器(HA)でも聞こえない高度・重度難聴患者に対するCIは我が国に導入されてからすでに約35年経過し,CI施行症例数はすでに11,000例を超えており(図1-1)9),多くの高度・重度難聴者,特に成人の中途失聴者を中心に大きな福音をもたらしている。しかしその一方で,新スクでの難聴疑い(Refer)後の確定診断時期や,確定診断後の言語獲得,特に音声言語獲得のための最適な療育体制は欧米に比べて立ち遅れているといわざるを得ない面がある。近年,日本耳鼻咽喉科学会主導のCI報告書から作られたCIデータベースが解析され分析から以下のことがわかった。72)我が国のCIデータベースから導かれた問題点4.前書き図1-1我が国の年代別人工内耳手術件数の推移(1985〜2017年,日耳鼻人工内耳データベースより)14001200100080060040020011161116
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