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はじめに温度刺激検査は末梢前庭機能の検査として長くgoldstandardとされてきた。計測されるのは主に外側半規管由来の前庭動眼反射で,回転検査と比べ左右の機能を分離・計測できる利点がある。回転検査が高い周波数領域の反射を定量化するのに対し,温度刺激検査は低い周波数領域の前庭動眼反射を定量化する。1原理外耳道内に水もしくは気流(エアーカロリックテスト)で温度刺激を負荷することで外側半規管内に内リンパ液の対流(変位)を起こす。これは低周波数の回転刺激に相当するクプラの偏倚と前庭動眼反射を惹起する。眼振の緩徐相速度を計測することで,外側半規管および上前庭神経機能の評価が可能となる。例えば仰臥位(30°前屈頭位)で左外側半規管を鉛直位とし,左耳内に冷風を負荷する場合,左外側半規管膜迷路内には下向性の内リンパ液の偏倚が起こる。これは頭部を右に振っている状態に相当し,その結果左向きの前庭動眼反射と右向きの眼振急速相が惹起される。温風の負荷や体位を腹臥位とすると眼振方向は逆転することになる。2検査法仰臥位で枕を入れ,頭部を30°前屈させて外側半規管を鉛直位に置く。冷温交互刺激検査では体温を基準に±7℃(30℃と44℃)の水を外耳道に注水する。50mLを20秒間かけて注水する方法と,20mLを10秒間で注水する方法が行われている。少量注水法では20℃の冷水5mLのみを20秒間かけて注水する(海外では行われていない)。注水の間隔は5分以上あける必要がある。温度眼振が解発されない場合はさらに強い刺激として氷水20mLを使用する。日本国内では臨床検査技師が単独で外耳道に注水することは認められておらず,エアーカロリックを用いている施設も多い。冷温交互刺激検査では26℃以下の冷風および46℃以上の温風を流量6〜8L/minで60秒間外耳道内に送風する。冷風刺激法では上記の冷風のみを使用する。温度刺激検査,エアーカロリックテスト,Visualsuppressiontest平衡23

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