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はじめに純音聴力検査は聴覚検査の最も基本的な検査であるが,その結果を正しく判断するには様々な知識が必要である。左右差がある場合などではマスキングの知識が必要であるし,自覚的検査という性質上,機能性難聴・詐病などにより正しい聴力結果にならない例もある。この項では純音聴力検査の方法・解釈と機能性難聴などの評価に有用である自記オージオメトリーについても述べる。1オージオメータ純音聴力検査に使用するオージオメータはJIST1201にて国際規格に合わせて細かく規定されており,近年では2011年に規格が改正されている。タイプ1〜5に分けられており,臨床診断用にはタイプ1〜3までが通常使用される。対応周波数は125〜8000Hzまでで,タイプ3では1000Hzで100dBまで出力できることを求められている(身体障害者での平均聴力の計算で,100dBが聞こえない症例については105dBとして計算するようになっているのはこの規定による)。ここで示す聴覚閾値にはdBHLの単位が用いられる。2オージオグラムオージオグラムは図1のように横軸を周波数,縦軸を聴力レベルという形式で記録する。そこに記載する記号はJIS規格で図2のように推奨されている。ただし実臨床ではマスキングされた気導を示す△・□はほぼ使われておらず,マスキングありなしにかかわらず気導聴力については通常どちらも○・×を使用する。気導聴力で隣接する間を結ぶ際は実線を使うことが望ましいとされ,左耳については破線を用いてもよいとされている。そのため実臨床では,図1の例のように右耳には実線・左耳には破線を用いる例が多い。色を使う場合は右耳には赤,左耳には青を用いる。平均聴力は表1のような計算法があり,国内では4分法Aを使うことが一般的である。海外では4分法Bや3分法が使われていることが多い(聴覚医学会・難聴対策委員会報告による)。難聴の程度は表1のように平均聴力を用いて分類される。純音聴力検査聴覚1

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