(deepsleep=slowwavesleep)となる。視察判定は,検査開始の最初の区間(エポック)から30秒ごとに連続して行い,それぞれのエポックにいずれかの睡眠段階を割り当てる。1つのエポック中に2つ以上の睡眠段階が混在している場合,エポック中でより多くの比率を占めている睡眠段階を割り当てる。脳波は周波数帯域別に,デルタ波(0〜3.99Hz),シータ波(4〜7.99Hz),アルファ波(8〜13Hz),ベータ波(13Hz超)と定義される。StageN3の定義の徐波とは前頭部に導出される0.5〜2.0Hzの周波数で波高の最低位と最高位の間が75μV以上と定義される。下記に各睡眠段階の脳波の特徴を概説する。医学部教育でも行われている程度の簡単な説明にとどめてあるが,実際PSGをスコアリングする際は,睡眠段階が移行する区間の判定に難しいケースがあり,そこに各スコアラー間でスコアリングのばらつきがみられる。睡眠段階の判定,開始,継続,および終了のルールの詳細についてはアメリカ睡眠学会のマニュアルを参照していただきたい1)。StageW(図2)StageWは完全な覚醒からまどろみ状態までを含む。StageWの脳波の特徴は後頭部優位のアルファ律動(8kHz以上後頭部優位)であり,エポックの50%以上でのアルファ律動がみられた場合,StageWの判定となる。顎筋電図電位も高い。閉眼時は脳波にてアルファ律動が主体で眼球運動はまどろみ状態の緩徐眼球運動(0.5秒間以上,slow-rollingeyemovements:SEM)主体となる。一方開眼時はアルファ律動は抑制され急速眼球運動(0.5秒間未満,rapideyemovement:REM)やまばたき(瞬目,eyeblinks)などが見られる。StageN1(図3)眠気が出現してうとうとしてくるとアルファ波の振幅・出現量が減少し,その後消失し低振幅なシータ波(4〜7.99Hz)が出現してくる。そしてStageN1の特徴である低振幅で様々な周波数が混在する脳波活動(low-amplitudemixed-frequency:LAMF)となる。さらに睡眠が深くなると高電位で3〜5Hzにて頭頂部領域で最大となる持続時間0.5秒未満の頭頂部鋭波(vertexsharpwaves)が出現してくる。眼球運動はSEMのまま顎筋電図電位も高いままである。LAMFがエポックの50%以上を占めた場合,もしくは頭頂部鋭波が出現した場合,StageN1の判定となる。StageN2(図4)StageN1での頭頂部鋭波に加えてStageN2では睡眠紡錘波(sleepspindles)と呼ばれる約14Hz程の連続した波が出現してくる。さらにはK複合(Kcomplex)と呼ばれる鋭波と紡錘波が複合したような形の波が出現する。一般に眼球運動は消失し,顎筋電図電位は低くなってくる。このspindleもしくはKcomplexのいずれかがエポックの前半部分に出現した場合,StageN2の判定となる(後半部分に出現した場合次のエポックがStageN2)。StageN3(図5)StageN2から睡眠が深くなるとデルタ波(0〜3.99Hz)となり,75μV以上の睡眠徐波がエポックの20%以上占めた場合,StageN3と判定される。眼球運動は通常認めない。顎筋電図は150
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