片側の完全鼻閉があっても測定は可能である。日本鼻科学会は,日本人の鼻腔抵抗の測定にはノズル・アンテリオール法を推奨している(図1)。測定記録された圧-気流量曲線はS字状となり鼻腔抵抗は一定した値とはならない(図2)。そのため,鼻腔抵抗を比較するには基準点における鼻腔抵抗を代表値とする必要がある。本邦では吸気100Paの鼻腔抵抗を代表値とすることが多い。日本人成人の基準値は,0.25±0.10Pa/cm3/secである(表1)。小児では身長が低いほど鼻腔抵抗は大きくなるが,小学校6年生(140cm以上)以29鼻腔通気度検査125鼻科図1ノズル・アンテリオール法におけるノズルの装着右鼻腔測定時の被検者は,右側にノーズピース,左側に鼻栓をあて,安静鼻呼吸を続ける。気流量(cm3/sec)図2鼻腔通気度検査の測定データと結果の解釈左右鼻腔それぞれの呼気と吸気の反復した安静鼻呼吸を示している。左鼻腔は右鼻腔と比較して波形が横になっており,気流量が低下している。吸気100Paを示した点線と測定曲線の交点から気流量が求められる。気流量は,右330cm3/sec,左105cm3/secを示している。鼻腔抵抗は,それぞれ0.30Pa/cm3/sec,0.95Pa/cm3/secであることから,総鼻腔抵抗は,0.23Pa/cm3/secと算出される。鼻閉の程度は正常と判定される。
元のページ ../index.html#13