Ⅲ─2 寛解維持療法 

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20mgになるまで漸減し,2〜3カ月持続する。

経口CY以外の免疫抑制薬としては,月1回のCY静注パルス療法(15mg

/

kg

/

月),ア

ザチオプリン (AZA:0.5〜1.5mg

/

kg

/

日),またはメトトレキサート(MTX:15mg

/

から増量し最大20〜25mg

/

週,日本では2016年10月現在ANCA関連血管炎には保険適

用外)も選択肢となる。

また,顔面神経麻痺や感音難聴などの内耳障害をきたした場合は,ベル麻痺や突発性難

聴の治療に準じて,副腎皮質ステロイド大量投与を行うことも選択される。さらに,肥厚
性硬膜炎合併例では,メチルプレドニゾロンパルス療法(500〜1000mg

/

body,3日間)を

行ってから上記の寛解導入療法を開始する。重篤臓器合併症もない軽症例,高齢者,パ
フォーマンスステータスの悪い患者などに対しては,PSL単独でも寛解導入を試み,経過
をみることも選択肢となる。しかし治療への反応不良例や,短期間に再燃する例では,免
疫抑制薬の併用が必要となる。

寛解導入療法処方例(耳または上気道限局例)

処方例1

①プレドニゾロン (0.3〜1 mg

/

kg

/

日) 分2〜3

②シクロホスファミド (25〜75 mg

/

body

/

日) 分1 (朝食後)

または
②シクロホスファミド 静注パルス療法(15mg

/

kg

/

月) 月1回

処方例2 シクロホスファミドが年齢,副作用により使用できない場合

処方例1の②シクロホスファミドを下記処方に代替えする。
②アザチオプリン 0.5〜1.5mg

/

kg

/

日 分1 (朝食後)

または
②メトトレキサート (MTX: 15mg

/

週から増量し,最大20〜25mg

/

週)

2

寛解維持療法

寛解維持療法に関しても,OMAAVを含む限局型ANCA関連血管炎に対するエビデン

スを示す報告はない。

寛解維持には,PSLは15〜20mg

/

日から10mg

/

日までは,1.25または2.5mgずつ

4〜8週間ごとに減量する。投与法も15mgと12.5mgの隔日投与や,週に1〜2度は
10mg,ほかの日は15mg投与にするなどの工夫が必要である。PSLは,10mg

/

日程度で

は副作用も少なく,しばらくこの量で維持する。さらに,10mg

/

日以下に減量する場合

は,4〜8週間ごとに1mgまたは10%ずつ,注意深く減量する。CYは,25mg

/

日までは

4〜8週間ごとに5mgずつ減量する。維持量としては12.5〜25mg

/

日を目安とする。さら

に減量する場合には,隔日投与や2日投与して1日休薬するなどの工夫が必要となる。
PSLの中止については,治療開始から12カ月以内にPSL投与を中止した場合,再燃率が