Ⅲ─2 寛解維持療法
59
第
2
章
20mgになるまで漸減し,2〜3カ月持続する。
経口CY以外の免疫抑制薬としては,月1回のCY静注パルス療法(15mg
/
kg
/
月),ア
ザチオプリン (AZA:0.5〜1.5mg
/
kg
/
日),またはメトトレキサート(MTX:15mg
/
週
から増量し最大20〜25mg
/
週,日本では2016年10月現在ANCA関連血管炎には保険適
用外)も選択肢となる。
また,顔面神経麻痺や感音難聴などの内耳障害をきたした場合は,ベル麻痺や突発性難
聴の治療に準じて,副腎皮質ステロイド大量投与を行うことも選択される。さらに,肥厚
性硬膜炎合併例では,メチルプレドニゾロンパルス療法(500〜1000mg
/
body,3日間)を
行ってから上記の寛解導入療法を開始する。重篤臓器合併症もない軽症例,高齢者,パ
フォーマンスステータスの悪い患者などに対しては,PSL単独でも寛解導入を試み,経過
をみることも選択肢となる。しかし治療への反応不良例や,短期間に再燃する例では,免
疫抑制薬の併用が必要となる。
寛解導入療法処方例(耳または上気道限局例)
処方例1
①プレドニゾロン (0.3〜1 mg
/
kg
/
日) 分2〜3
②シクロホスファミド (25〜75 mg
/
body
/
日) 分1 (朝食後)
または
②シクロホスファミド 静注パルス療法(15mg
/
kg
/
月) 月1回
処方例2 シクロホスファミドが年齢,副作用により使用できない場合
処方例1の②シクロホスファミドを下記処方に代替えする。
②アザチオプリン 0.5〜1.5mg
/
kg
/
日 分1 (朝食後)
または
②メトトレキサート (MTX: 15mg
/
週から増量し,最大20〜25mg
/
週)
2
寛解維持療法
寛解維持療法に関しても,OMAAVを含む限局型ANCA関連血管炎に対するエビデン
スを示す報告はない。
寛解維持には,PSLは15〜20mg
/
日から10mg
/
日までは,1.25または2.5mgずつ
4〜8週間ごとに減量する。投与法も15mgと12.5mgの隔日投与や,週に1〜2度は
10mg,ほかの日は15mg投与にするなどの工夫が必要である。PSLは,10mg
/
日程度で
は副作用も少なく,しばらくこの量で維持する。さらに,10mg
/
日以下に減量する場合
は,4〜8週間ごとに1mgまたは10%ずつ,注意深く減量する。CYは,25mg
/
日までは
4〜8週間ごとに5mgずつ減量する。維持量としては12.5〜25mg
/
日を目安とする。さら
に減量する場合には,隔日投与や2日投与して1日休薬するなどの工夫が必要となる。
PSLの中止については,治療開始から12カ月以内にPSL投与を中止した場合,再燃率が