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第2章 総 論
人が薬液を入れたネブライザー付属器を使用する。日常診療においてはたくさんの付属器
を用意したり,施行のたびに薬液を調整したりする必要があるため,やや手間がかかる。
診療施設が手狭な場合,あるいは病室などでは携帯型が用いられる。携帯型ジェット式
は薬液を個別に作成することが可能であるので,個々の症例にあった薬液でネブライザー
を行うことが可能である。超音波式でも携帯型の主なものは薬液内蔵タイプであり,据え
置き型のスペースの取りにくい診療施設での使用に適している。超音波式においても個別
使用のデバイスが開発された。それをさらに進化させ,軽量化したのがメッシュ式のデバ
イスである。小電力となり有益であるが,薬液によりメッシュがつまる可能性があり,使
用できる薬液に制限のあるのが実情である。
3)デバイスと吸入時間
薬液の吸入時間を決定するためにはそのデバイスの噴霧出力を知っておく必要がある。
鼻副鼻腔炎に対するネブライザーの実質薬液量は2〜4mLが標準となっている。一方,
ジェット式であっても超音波式であっても,粒子を安定化させて,薬液濃度を均一にする
ためには,余分な薬液(残液量)が最低2mL必要となる。したがって,治療としては薬液
約2mLをどれだけの時間吸入させるかとなる。器械により異なるが,医家向けのジェッ
ト式据え置き型ではコンプレッサー圧力を0.15〜0.5MPa(メガパスカル)に変化させるこ
とが可能であり,0.5mL/min程度の霧化量となる。一方,超音波式ネブライザーも噴霧出
力を変えられ,1〜1.5mL/minとなる。また,近年の携帯型は0.25〜0.35mL/minとなり,
必要薬液量を確保するには吸入時間を長くする必要がある。つまり,吸入時間はジェット
式と超音波式でも異なり,機器により霧化量が異なるため計算して決定することが重要で
ある。
2 付属機器
1)ノーズピース
ノーズピースにはガラス製やプラスチック製などがある。エアロゾル発生装置で発生さ
せた粒子は,ノーズピースを通して,できるだけ多くの粒子を目的標的部位に吸着させる
ことが望ましい。しかし,現在あるノーズピースではどうしても薬液が付着してしまい,
排出噴霧率を低下させる因子になっている。どのノーズピースを用いるにしても,鼻孔に
密着させると有効排出率を上昇させることが可能であるため,患者指導も必要である。
現段階では排出率が高いノーズピースがないために,今後の開発が必要であるが,薬液
を有効に鼻副鼻腔内に入れるためには,ノーズピースなどの有効排出率を考慮し,吸入時
間を増やして対応することが現状では最も重要であると考える。
2)その他の付属機器
ジェット式据え置き型で薬液内蔵タイプの機器は,外部ホース(蛇管)から直接ノーズ
ピースに接続するため,霧化量そのままに吸入させることになる。一方,ジェット式個別