2
9
線維からなる(
図1-12
)。
近くにピントを合わせるときには毛様体筋の
ミュラー筋を収縮させ,それにより毛様(体)小帯
は弛緩し,水晶体は自己の弾性により厚さを増
し,それにより水晶体の屈折を増す。遠くを見る
とき(非調節時)は弛緩させて,水晶体の厚さを
減じて屈折力を低下させる。これが
である。
f
.硝子体
vitreous body
硝子体は,眼球の4/5を占める硝子体腔を満
たしている透明なゲル組織である(
図1-13
)。
硝子体は
vitreous stroma
と,その
間を満たしている
vitreous humor
とか
らなる。硝子体はヒアルロン酸を含むが,ほとん
どは水分である。硝子体線維はⅡ型コラーゲン線
維が主である。毛様体や網膜と接する部位は粘調
度が高いので硝子体皮質といわれる。
vitreous base
は鋸状縁付近に強く接着している。
硝子体と網膜の接着は(視神経)乳頭部,中心窩付
近が強い。硝子体前面には前部硝子体膜があると
されてきたが,実は硝子体線維が密になったもの
にすぎない。硝子体皮質には硝子体細胞
hyalocyte
といわれる細胞がある。
g
.眼房・隅角
1
aqueous chamber
anterior chamber
と
posterior chamber
とに分かれる。前房は虹彩前面と角膜後面との間
をいう。後房は水晶体,硝子体,毛様体および虹
彩後面に囲まれる。ともに
aqueous humor
に
満たされている。前房水の量は0.15〜0.35mlで
ある。房水は瞳孔を境として前房水と後房水とに
分けられる。房水は毛様体で産生され,
へ流れる。前房隅角からの房
水流出には,
Schlemm canal
を経由す
る経シュレム管流出路と,毛様体間隙を経て後方
ぶどう膜,強膜に流れる
uveoscleral outflow
などがある。
2
anterior chamber angle
(前房)隅角は角膜と虹彩とに挟まれた強膜,ぶ
どう膜からなる部分で,デスメ膜の終わりである
Schwalbe line
から虹彩根部までを
いう。角膜と強膜との境界を
scleral spur
という(
図1-14
)。
図
1
-
14
隅角の光顕写真
隅角を構成する組織の関係を示している。この関係を理解することは,とくに緑内
障診療において重要である。
シュワルベ線
毛様体
強膜岬
虹彩
隅角
線維柱帯
シュレム管
強膜