2
5
膜実質から上皮にかけて多数分布している。角膜
の栄養は,角膜縁の辺縁血管蹄係網と涙液および
前房水によって行われる。角膜輪部には1〜
2mmの幅で放射状の灰白色のひだ状構造である
palisades of Vogtがみられ(
図1-6
)
(→角膜・強膜
p.114図7−1)
,ここに
stem cell
が存在
する。
b
.強膜
sclera
強膜は角膜とともに眼球外膜を構成し,外膜の
4/5を占める。白色不透明で頑丈な膜で,眼球形
状を保持し,眼球内容を保護する。強膜の厚さは
約1mmであり,外眼筋付着部,赤道部では薄く
約0.3mmである。後方の視神経が出る部位では
強膜は篩状の網目構造となり,その網目を通って
視神経線維が眼球外へ出る。
篩状の部分を
lamina cribrosa(L)
という。視神経の周囲では,強膜は視神経髄膜の
硬膜に移行する。眼球に出入りする神経や血管は
強膜を貫いている(
図1-2
)。強膜を貫く血管には,
毛様(体)動脈,渦静脈などがある。強膜の後部は
Tenon capsule
におおわれ,前部は球結
膜におおわれている。球結膜と強膜の間は血管に
富む結合組織で
episclera
といわれる。強
膜はさまざまな太さの膠原線維が不規則に交錯
し,その種類もⅠ型,Ⅲ型,Ⅴ型,Ⅵ型とさまざ
まである。強膜も無血管なので,栄養は脈絡膜と
テノン囊の血管からなされる。
c
.ぶどう膜
uvea
ぶどう膜は,,の3つからな
る。メラニン色素に富み,瞳孔以外の部位から眼
内に光が入るのを防ぎ,カメラでいう暗箱の役割
をしている。血管が豊富であり,それにより眼内
に栄養や酸素を供給する。
1
iris
ぶどう膜最前部にある膜状組織で,中央に
pupil
がある(
図1-7
)。瞳孔の大きさを変えること
により眼球内に入る光量が調節される。これはカ
メラの絞りにあたる。表面には虹彩紋理がみられ
る。虹彩の後面には2層の色素上皮細胞がある。
には
sphincter pupillae muscle
と
dilator pupillae muscle
の2つがある
(
図1-8
)。瞳孔括約筋は動眼神経(副交感神経)支
配であり,瞳孔散大筋は頚部交感神経支配であ
る。虹彩の色調はメラニン色素の量で決まり,日
本人は茶褐色である。
2
ciliary body
虹彩の後ろ,脈絡膜の前にある。前方は前房隅
角に面し,その内側は虹彩に続いている。毛様体
は放射状の多数の隆起からなり,
pars plicata(L)
といわれる。その後半は扁平(
図
1
-
7
虹彩の写真
虹彩巻縮輪iris frill(矢印)の内側を小虹彩輪,外側を大
虹彩輪という。このパターンは生体認証にも用いられて
いる。