4
11
b
.視神経
optic nerve
(視神経)乳頭から視交叉までを視神経という。
視神経は直径3mm,長さ35〜50mmの構造で,
末梢神経ではなく,中枢神経の白質に相当する。
網膜神経節細胞から出た神経線維が集まった部分
が(視神経)乳頭である。
optic disc
は中心窩の約4mm鼻側,1mm上方にある。直
径約1.5mmで黄赤色を呈し,耳側はやや色が薄
い。視神経線維は(視神経)乳頭から強膜篩状板を
貫いて球後に出るが,ここから有髄神経となる。
眼窩内を後進し,眼窩先端にある総腱輪から蝶形
骨小翼にある
optic canal
を通って頭蓋内
に入り,トルコ鞍上でに達する。
視神経は視神経鞘に包まれる。視神経鞘は髄膜
鞘の延長であり,硬膜,クモ膜,軟膜からなる。
視神経の中央には
central retinal
artery
,
central retinal vein
がある。
網膜中心動脈は眼動脈から分枝して,眼窩内で視
神経の球後約10mmから視神経鞘を貫いて中央
に入り,前方へ走って(視神経)乳頭の中央で4本
に分枝して網膜に分布する。
short posterior ciliary artery
は視神経の前半部を
栄養する(
図1-18
)。短後毛様(体)動脈の分枝が
篩状板をとりまいて強膜内に形成した血管輪(
Zinn-Haller arterial circle
)から,
多数の動脈枝が視神経に分布する。
黄斑からくる神経線維は
papillomacular nerve fiber bundle
というが,(視神
経)乳頭の耳側1/3に入り,球後では視神経の中
央を走り,視交叉では視交叉後面近くで他眼の交
叉性乳頭黄斑線維と小交叉を行う。視索ではその
背面を走り,外側膝状体の上1/3に終わる。
4
a
.眼瞼
eyelid
眼瞼は眼窩の前方に位置し,眼球を保護し,ま
ばたきによって涙液で角膜を潤す。
1
(
図1-19
)
上眼瞼と下眼瞼とからなり,その間を
palpebral fissure
という(
図1-20
)。その縁を
lid mar gin
という。上下の眼瞼縁の鼻側には,
涙液の排出口である涙点
lacrimal punctum
がある。
眼瞼縁の前縁に
cilia
があり,後縁には
tarsal gland
(
meibomian gland
)
が開口している(
図1-21
)。睫毛は刺激に敏感で
あり,異物が接触するとただちに閉瞼して,瞼裂
内に入るのを防ぐ。睫毛根部には汗腺や脂腺の分
泌腺がある。
eyebrow
は上眼瞼と額部との間にあり,
額から伝わる汗が眼に入るのを防ぐ。
眼瞼は外側から内側に向かって皮膚,筋,瞼板,
結膜の各層からなる。筋層の眼輪筋は顔面神経支
配で,閉瞼をつかさどる。開瞼する筋は動眼神経
支配の(上)眼瞼挙筋,交感神経支配の瞼板筋から
なる。
2
人体で最も薄い皮膚で,皮下組織が疎であるの
で,動きやすい反面,炎症などで腫脹しやすい。
図
1
-
18
(視神経)
乳頭付近の動脈分布
特徴的な血管構築により,視神経疾患が引き起こされるので,理解が必要である。
脈絡膜
網膜
強膜
短後毛様(体)動脈
分枝
硬膜鞘
軟膜鞘
視神経
網膜中心静脈
網膜中心動脈