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Chapter 2 • 眼球運動と脳神経
鑑別診断
重症筋無力症、甲状腺眼症、慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)
評価
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眼科既往歴を把握し、脳神経を主体とした神経学的検査を行い、瞳孔、眼瞼、眼球
突出、眼球運動、牽引試験を主体に眼科検査を行う。
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臨床検査:空腹時血糖、CBC、ESR、VDRL(性病検査)、FTA-ABS、抗核抗体
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血圧をチェックする。
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MRIまたはMRA、CTAは散瞳しているすべての患者、他の神経学的異常がある
患者、瞳孔回避(温存)で50歳以下の患者、異所性再生がみられる患者、瞳孔回
避(温存)で微細血管障害の患者で3カ月回復しない症例に対して施行する。
3mm径以上の動脈瘤は90%検出可能だが、他の検査で決定的に動脈瘤が検出で
きなければ、gold standardは脳血管造影検査である。
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感染、細胞診、くも膜下出血を評価するには腰椎穿刺も考慮する。
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重症筋無力症の鑑別のため、エドロホニウム塩化物(テンシロン)テスト、アイス
パックテスト、抗アセチルコリンレセプター抗体測定も考慮する。
Ptosis
Dilated pupil
図2-14
•
第Ⅲ脳神経麻痺。右
眼眼瞼下垂、散瞳、外斜視、下
斜視。垂れた瞼と散大した瞳孔
を示す“down and out”眼の典
型例である。
瞳孔散大
眼瞼下垂
図2-15
•
動眼神経過誤支配(異所性再生)。左眼は下転により縮瞳。下直筋を支配しなけ
ればならない神経が今は瞳孔括約筋を支配している。
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