15[核医学検査][その他の画像診断]◦消化管内視鏡,注腸造影◦尿路の画像診断イナミック造影,脂肪抑制など撮像条件を変えることで,CTより優れた腫瘤の質的診断が可能である。近年は造影MRIに加え,拡散強調画像によりapparentdiffusioncoefficient(ADC)値を用いる(ADC値が低いと悪性腫瘍を疑う)ことも良悪性の推定に有用とされ,原発巣の良悪性の診断精度はFDG-PETに優る。撮影部位が限定されるため,一般の再発の診断には向かないが,脊椎転移などの正確な局在の診断,脳転移の診断などには有用である。FDG-PETは2010年以降,早期胃がんを除くすべての悪性腫瘍に保険適用となった。ただし,他の画像診断により病期診断,転移・再発の診断が確定できない場合に限られる。リンパ節転移,遠隔臓器転移,骨転移などの診断に優れている。再発の診断にも他の画像診断と組み合わせて用いられ,腫瘍マーカーが上昇するも他の画像診断で病巣が検出できない場合や,再発巣と確定できない場合に有用とされる。ただし,径5mm程度の病巣や嚢胞性の転移巣の検出力は落ちる。脳や腸管,腎臓,膀胱などの生理的集積を来す臓器以外にも排卵時の卵巣,月経時の子宮内膜,一部の子宮筋腫などにも集積が見られることに注意する。他にRIを用いた検査として,骨シンチグラフィーは造骨反応を示す骨転移の診断に依然として有用である。ただし,炎症による偽陽性や溶骨型の骨転移例での偽陰性もあるため注意が必要である。悪性腫瘍が疑われる場合,下部消化管のスクリーニングや腫瘍の大腸粘膜浸潤の有無を確認する目的で,術前に下部消化管内視鏡検査が行われることがある。進行期分類(日産婦2014,FIGO2014)では消化管の部位に関係なく粘膜浸潤があればⅣB期とされる。注腸造影では腸管の伸展性がわかるため,腫瘍と腸管の癒着や漿膜浸潤の有無が推定できる場合もある。消化管由来の転移性腫瘍が疑われる場合は,原発巣の検索目的に行う。悪性腫瘍が疑われる場合,膀胱粘膜への浸潤の有無を確認するために膀胱鏡検査が行われることがある。巨大腫瘍や播種を伴っている場合,腎盂尿管の造影検査を行い尿管の走行や尿の排泄遅延の有無を確認しておく。初発時または再発時の腹腔内観察,腹水採取および病巣の組織採取を目的とした腹腔鏡検査は,治療方針を決定するのに有用なことがある。e.腹腔鏡
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