30154T
7/9

14  3. 診断[超音波断層法]◦経腟法◦経腹法[CT][MRI]特に経腟超音波断層法の普及により付属器腫瘤が数多く発見されるようになった。さらにCTやMRIの普及と装置の改良により腫瘤の性状診断や病勢診断の精度が著しく向上した。また,経過観察時の再発の早期診断にも画像診断が多く用いられる。これら種々の機器を有効に利用する必要がある。最も簡便に行える検査であり,腫瘤の有無のスクリーニングに有用である。付属器腫瘤を認める際には,嚢胞性か充実性か,両者が混在しているかを見る。嚢胞性の場合は単房性・多房性の別や,壁の肥厚の有無を観察する。混在している場合は嚢胞内の結節の有無と,結節の均質性,壁の不整などを確認する。漿液性,粘液性,血性など嚢胞内の液体の性状により輝度が異なる。壁の肥厚や不整な結節などが悪性を疑う所見であり,CTやMRIなどの精密検査の対象とする。また,腹水の有無,ダグラス窩や膀胱子宮窩の播種結節の有無を確認する。また,対側の卵巣の所見も観察する。カラードプラやパワードプラで腫瘤内の血流の評価やresistanceindex(RI)を測定し,RIが低い場合に悪性を疑うとされるが,確定的ではない。小さな付属器腫瘤は観察が困難であるが,手拳大以上の腫瘤の場合には経腟法より有用である。卵巣外の病変,腹腔内播種や腹水,肝臓など実質臓器内の腫瘤の有無,水腎症の有無などを確認する。ヘリカルCTの導入,さらにマルチスライスCTの導入で,より短時間で被曝量を低減した状態で3D画面なども撮影できるようになった。単純撮影では腫瘤の質的診断は困難であり,腎機能等に問題がなければ通常は造影検査を行う。腫瘍のサイズは勿論であるが,腫瘍壁や結節の造影の有無から良悪性の判断を行う。悪性が疑われる場合は腹腔内の播種,胸・腹水,後腹膜リンパ節腫大,遠隔臓器転移巣の観察などが進行期の推定に有用である。外科的腫瘍切除が困難な場合の組織採取にCTガイド下生検が行われる。また,初回手術後の残存腫瘍径の測定,化学療法の効果判定にも用いられる。初回治療後の再発の診断にもCTが汎用される。撮影の時期は再発リスクによって異なるが,手術後12カ月以内には撮影することが推奨される。しかしながら,X線を用いる検査のため,不必要な頻回の撮影は避けるべきであり,妊娠の可能性がある女性には行えない。また,深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症の診断には有効な方法であり,術前術後に発症が疑われた場合は下肢まで含めた撮影を行う。一回の撮像範囲は限られるが放射線被曝なしに撮影が可能であり,T1・T2強調,ダ

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る