13[術中の視診・触診][再発時][再発時]転移し得る。内診により付属器領域に腫瘤を触知すれば,腫瘤の大きさ,硬度をはじめ表面の性状,可動性の制限などを確認する。視診・触診にて腹部腫瘤の形状,腹水貯留の有無,鼠径リンパ節や鎖骨上窩リンパ節の腫大の有無についても確認する。付属器腫瘤が小さい場合には,内診で触知するのは困難である。術中には,腫瘍をよく観察し,大きさ,硬度,表面の性状の他に癒着の有無,被膜破綻の有無を確認する。腹水貯留の有無も確認する。また横隔膜下から腸管を含めた腹腔内全体の観察により腫瘍性病変の有無を検索する。後腹膜リンパ節腫大の有無を触診で確認する。再発腫瘍を内診と理学的所見で早期発見するのは難しい。内診,直腸診ではダグラス窩周囲の再発腫瘤を触診できることがある。鼠径リンパ節や鎖骨上窩リンパ節の腫大の有無についても確認する。進行例では,貧血,肝機能障害,BUN,クレアチニンの上昇を認めることがある。腫瘍マーカーとしては,上皮性腫瘍の中で漿液性癌ではCA125が,粘液性癌ではCA19-9,CEAが上昇していることが多い。胚細胞腫瘍のうち,卵黄嚢腫瘍ではAFPが高値を示すことが特徴的であるが,未熟奇形腫や胎児性癌でも上昇がみられる。絨毛癌ではhCGが上昇する。未分化胚細胞腫では,LDHがしばしば上昇する。扁平上皮の悪性化(扁平上皮癌)を伴う成熟奇形腫では,SCCが上昇することがある。性索間質性腫瘍では,エストロゲンやアンドロゲン産生が認められることがある。卵管癌・腹膜癌ではCA125が腫瘍マーカーとなることがある。再発の早期発見のため腫瘍マーカーを用いることについては,CA125が最も検討されており定期的なCA125の測定が推奨されている。しかし,CA125上昇のみに基づく早期からの治療介入は生存率上昇には関与しないとの報告もある。卵巣,卵管腫瘍の良悪性診断に画像診断の果たす役割は極めて大きい。超音波断層法,b.内診・理学的所見等[初診時]c.血液生化学的検査(腫瘍マーカーなど)[初診時]d.画像診断
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