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●Ⅳ神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine neoplasia (図譜98〜100)A. 神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine tumor(NET)1. 神経内分泌腫瘍グレード1 Neuroendocrine tumor, grade 1(NET G1)53神経内分泌分化を示す腫瘍で,索状配列やロゼットなどの類器官構造を示す。肺,消化管,膵臓の神経内分泌腫瘍と同様にG1とG2に二分され,それぞれカルチノイド腫瘍,非定型的カルチノイド腫瘍に相当する。ほとんどの例でハイリスクHPVが検出される。他の子宮頸部悪性腫瘍と同様,性器出血や帯下異常,腫瘤形成が認められる。子宮頸部細胞診異常を伴うことはほとんどない。生理活性を有するペプチドのホルモン産生による症状を呈することは稀である。 病理所見 NET G1は消化管や肺のカルチノイド腫瘍と同様の索状,リボン状あるいは島状の構造を示し,構成細胞は顆粒状のクロマチン構造を示す円形の核と豊富な細胞質を有する。核クロマチンは均等に分布し,核小体は小型である。核分裂はほとんど認められない。これに対して,NET G2は同様の構築を示すが,核大小不同,核形不整がみられ,核クロマチンの分布が不均等である。核分裂は2mm2あたり5〜10個(5〜10/10HPF)程度認められるほか,壊死が認められることがある。免疫組織化学的にはsynaptophysin,chromogranin A,CD56などが陽性となる。子宮頸部ではNETの頻度は低く,特にNET G1は極めて稀である。しばしば腺癌などと併存していることから,神経内分泌分化を示す腺癌の部分像であるとみなす考え方もある。肺,消化管,膵臓の神経内分泌癌と同様の形態を示す腫瘍で,小細胞型と大細胞型に二分される。ハイリスクHPVが検出され,特に18型が多い。肺に発生する小細胞癌と同様,初期から侵襲性が高く,極めて予後不良である。したがって,全身病として扱い,治療も肺小細胞癌に準じて行われる。(図譜99)(図譜100) 概 要 (カルチノイド腫瘍Carcinoid tumor)2. 神経内分泌腫瘍グレード2 Neuroendocrine tumor, grade 2(NET G2)(非定型的カルチノイド腫瘍 Atypical carcinoid tumor)(図譜98) 概 要 B. 神経内分泌癌 Neuroendocrine carcinoma(NEC)1. 小細胞神経内分泌癌 Small cell neuroendocrine carcinoma(SCNEC)2. 大細胞神経内分泌癌 Large cell neuroendocrine carcinoma(LCNEC)

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