● 高周波電流による切除(リープ法)は、切除できる範囲が浅いことから、術後の妊娠を考慮すると子宮頸部の長さを保つことができます。しかし、子宮頸部の奥深くに病巣がある場合には、深い部分を追加切除するなど慎重に行う必要があります。● 超音波凝固切開装置やレーザーによる切除は、病巣を十分に切除することが可能で、切せつ除じょ断だん端たんの表面が熱により変性するため出血が少ないといったメリットがあります。出産への影響 これらの子宮頸部円錐切除術は、子宮を残すことができますが、その後の妊娠や出産に与える影響が問題になることがあります。特に、メスによる円錐切除後に妊娠した場合、流産や早産、帝てい王おう切せっ開かいのリスクが高まるという報告があります。レーザーやリープ法でも多少の影響が出るので、子宮頸部円錐切除術を受ける場合には、それぞれの方法のメリットやデメリットについて担当医から十分な説明を受け、よく話し合って選択することが大切です。単純子宮全摘出術 表1にあるように、子宮頸部円錐切除術を行って切除した標本を調べ、その断端(切除片の端)にがん細胞がないこと(断端陰性)がわかれば治療は終了となり、経過観察となります。しかし、円錐切除した標本の断端にがん細胞が残っている(断端陽性)と診断された場合は、子宮頸部細胞診を行いながら慎重にみていく必要があります。残っている子宮にCIN 3以上の病変が再発した場合などは、再び子宮頸部円錐切除術を行うか、単純子宮全摘出術を行うことがあります。そのほかに、妊娠を希望しない患者さんや高齢者の場合などに対しては、円錐切除の代わりの手術方法として、最初から単純子宮全摘出術を行うことがあります。 単純子宮全摘出術は、子宮のみを摘出する術式で、完全に治癒する確率は子宮頸部円錐切除術よりも高くなります。開腹手術や腟式手術、腹ふく腔くう鏡きょう手術などで行われ、手術に要する時間は1~2時間くらい、入院日数は5~10日くらいです。この手術は子宮をすべて取ってしまうので、手術後は妊娠することができなくなります。しかし、腟の深さは保たれますので、手術後の性交渉への影響はほとんどありません。また、卵巣は残すことができますので女性ホルモンの分泌は保たれます。担当医やご家族などとともに十分に話し合って治療を決定することが何より大切です。妊にん孕よう性せい(妊娠できる機能)の保持についてはQ12をご覧ください。34
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