癒ゆ着ちゃく性イレウスと絞こう扼やく性イレウスの例腸同士が癒着索状物で絞扼癒着性イレウス絞扼性イレウス絞扼性イレウス図1ないのですが、癒着のしかたによっては腸が狭せまくなったり、ねじれが強くなったりすることがあり、それらによって通過障害などいろいろな症状が出現します。これを癒着性イレウスといい、術後のイレウスで最も多くみられます(図1)。 手術後数日から、ときには数年たってから発症することがあるため注意が必要です。 通常は、おへその周囲の疝せん痛つう(発ほっ作さ性、反復性の激しい腹痛)で発症します。痛みのある時間より痛みのない時間のほうが長く、痛みの部位が移動していきます。しだいに腹部膨満や吐き気・嘔吐などが起こり、進行すると命にかかわる腹ふく膜まく炎えんを併発することもあります。 治療は絶食や点滴で、通過障害に伴ともなう胃や小腸の拡張が強ければ、胃管やイレウス管と呼ばれるチューブを鼻から挿入して、胃や腸にたまった内容物やガスの排出を行います。これらの保存的治療で改善がみられなければ、手術により癒着の解除を行いますが、状況により一時的あるいは永久的な人工肛門が必要になることもあります。 絞扼とは「絞しめつけること」です。前述のごとく手術後に腸は多少の癒着を起こしますが、この癒着によって索さく状じょう物と呼ばれるヒモ状の線維組織ができることがあり、そこに腸が挟まってしまい絞めつけられた状態を絞扼性イレウスといいます(図1)。 絞扼性イレウスは自然に解除することは困難であり、また絞めつけられることで血液が届きにくくなった腸は壊え死しすることがあるため、緊急の手術による絞扼の解除や壊死した腸管の切除を行います。214
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