CQ 31子宮頸癌治療後に,再発発見のための定期的な検査は奨められるか?推奨▶▶▶目 的▶▶▶解 説178 第6章 治療後の経過観察再発を早期に発見するために適切な受診間隔と検査項目について検討する。経過観察の間隔や検査方法を検討したRCTは乏しい1)。本邦では慣習的に,諸外国に比して短い受診間隔での経過観察が行われているが,頻回の経過観察が予後や患者のQOLに寄与するエビデンスが存在しないため,海外のガイドライン1-3)を参考にしつつ,後方視的調査研究による知見と子宮頸癌の再発様式や各種検査の精度,患者負担や医療経済的妥当性などを考慮し推奨を決定した。子宮頸癌再発は約70%が2年以内,約90%が5年以内に発見される4, 5)。各国のガイドラインでは,注意深いサーベイランスを行う頻度として,治療終了後2年間は3〜6カ月ごと,その後5年までは6〜12カ月ごとを推奨,5年以降は一般婦人科医による診察を推奨している。ただし,再発や合併症のリスクは患者によって異なる6)ため,個別に受診間隔を調整する。子宮頸癌再発診断時には,約70%に症状があると報告されている4, 5)。子宮頸癌再発時に多く見られる症状は,骨盤内や腰背部の痛み,下肢痛,性器出血や帯下増量,下肢浮腫などであり4),診察時には十分な問診を行うとともに,症状がある時は早期に受診するように指導する。また,無症状再発の半数は身体的診察で,局所再発の約70%が内診によって診断される4, 5)。腟鏡診,双手双合診,腟直腸診等の婦人科的診察を中心に身体所見を取る意義は大きい。CT, PET, MRI, 超音波などの画像検査は再発を疑った時の精査として必要である。しかし,無症状で他に所見のない患者に対して定期的に施行する有用性は確立されていない。海外のガイドラインでは,無症状再発のうちCT検査での発見頻度は0〜34%との報告を受けて4),定期的なCT検査を推奨していない。一方,PET/CTはCTよりも再発診断の感度・ 推奨の強さ 1(↑↑) エビデンスレベル C 合意率100%(18/18人)②受診ごとに問診と身体所見を取ることを推奨する。 推奨の強さ 1(↑↑) エビデンスレベル C 合意率100%(18/18人)③画像,腫瘍マーカー,細胞診検査は,必要に応じて行うことを提案する。 推奨の強さ 2(↑) エビデンスレベル C 合意率100%(18/18人)①再発のリスクに応じ,治療終了から2年までは3〜6カ月ごと,その後5年までは6〜12カ月ごとの定期的なサーベイランスを行うことを推奨する。
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