ACCエビデンス 勧告の強さレベルⅠⅢⅢエビデンス 勧告の強さレベルエビデンス レベル勧告の強さCQ 1■31参考にした文献Practice Guideline 3件Systematic Review 5件RCT 18件1. 鎮痛薬やホルモン製剤(OC/LEP,プロゲスチン)を投与する。2. 鎮痛薬,ホルモン製剤が無効な場合や月経血の流出路障害を合併する場合3. 術後は子宮内膜症の進行や再発を予防するためホルモン製剤を投与する。思春期の月経困難症では機能性月経困難症が多いと考えられているが,器質性月経困難症との鑑別診断を行うことは重要である。器質性月経困難症の原因として最も多いのは子宮内膜症であり,慢性骨盤痛や月経困難症を有する思春期女性に腹腔鏡検査を行うと,少なくとも2/3には子宮内膜症が認められるとの報告がある1)。慢性骨盤痛や月経困難症を有する場合に第一選択として腹腔鏡検査による肉眼的,組織学的な診断を行うことは,リスク-ベネフィットおよびコスト-ベネフィットの観点からは妥当性がないと考えられるが,思春期子宮内膜症に薬物療法をせずに放置すると重症化するとの報告もある2)。したがって,超音波断層法などで臨床的に子宮内膜症と診断されればもちろんであるが,明らかな子宮内膜症の所見がなくとも子宮内膜症が疑われる場合には,鎮痛薬による対症療法だけでなく,診断的治療としてOC/LEP,プロゲスチンによるホルモン療法を開始することが望ましい3)。OC・LEPガイドライン2020年度版では,OC/LEPは「初経発来後から開始できるが,骨成長・骨密度への影響を考慮する必要がある」とされている。これは,初経発来後にOC/LEPを用いることは骨端線閉鎖への影響はないが,骨密度増加速度が低下する可能性があるため初経年齢を考慮して開始するということであり,一概に何歳以上で使用可能とは決めがたい4)。海外での臨床試験においても,14歳未満の安全性は担保されていない。上記の薬物療法が無効な場合には腹腔鏡下手術を行い,肉眼的,組織学的に子宮内膜症の診断を行って,病巣の焼灼,癒着剥離,卵巣子宮内膜症性嚢胞摘出術などの保存的手術を行う5)。ただし,思春期子宮内膜症は成人の場合とは異なり透明病変や赤色病変が多いので,注意深くCQ 1思春期子宮内膜症が疑われる場合の取扱いは?には手術を行う。解 説AA
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