25723T
5/10

■推奨■推奨の強さと根拠 2C(弱い推奨,弱い根拠)Ⅱ49) Simpson AH, Deakin M, Latham JM. Chronic osteomyelitis:the effect of the extent of surgical resection on infection-free survival. J Bone Joint Surg Br. 83:403-7, 200110) Eckardt JJ, Wirganowicz PZ, Mar T. An aggressive surgical approach to the management of chronic osteomyelitis. Clin Orthop Relat Res. 298:229-39, デブリードマン後の創傷底もまだ汚染されていることを前提として治療を行わなければならないが,感染の再発を防ぐという点では上記の手技のうち創面に最も血流を供給できる有茎あるいは遊離筋(皮)弁を使用する方法が第一選択になると考えられる6)。実際の臨床において局所の筋(皮)弁は再建に最も用いられており7, 8),治療成績でみても吸引洗浄を併用した一期的閉鎖群の治療が45.5%,開放創への海綿骨移植群の治癒が40%であったのに対し,筋弁で覆った群は80%が治癒したとするKovalらの報告9)をはじめ,筋(皮)弁術による感染鎮静化の成功率は80〜96.6%であると報告3, 7, 10-12)されている。それに対して一般的な治療が行われた成人慢性骨髄炎治療の治癒率は70〜80%と報告13)されているため,各論文の患者背景を考慮する必要はあるものの,データ上も筋(皮)199411) Lazzarini L, Mader JT, Calhoun JH. Osteomyelitis in long bones. J Bone Joint Surg Am. 86:2305-18, 200412) Forsberg JA, Potter BK, Cierny G 3rd, et al. Diagnosis and management of chronic infection. J Am Acad Orthop Surg. 19 Suppl 1:S 8-19, 2011デブリードマンで生じた死腔や骨欠損に対する再建についてはさまざまなものが報告されている。ところが,慢性骨髄炎の治療は複雑で適切に行ったとしても依然高い再発率を示し,いまだ共通のコンセンサスは確立していない。しかし,血流の悪い組織がベースに存在し感染を生じたという病因を考えれば,筋(皮)弁など血行のよい組織で創面を被覆することが,細菌の増殖を抑え,長期の治癒を得ることができる最もよい方法であり,デブリードマン後の死腔の充填に有用であると考える。ただし,患者の基礎疾患や全身状態,骨髄炎の病期,骨移植の必要性を加味して複数の治療法から慎重に選択し,多数の専門分野にわたるチームで治療にあたることが望ましい。 根拠・解説 慢性骨髄炎の外科的治療の原則は,すべての壊死組織の広範なデブリードマンのあと,生じた死腔の大きさ,骨の安定性,軟部組織欠損に対して評価を行ったうえ,軟部組織や骨組織を用いて再建を行い,十分な血流を再供給することである1-4)。そして,デブリードマンによって生じる死腔や骨欠損に対する手術治療は,主に次の5つの手技;①筋(皮)弁,②骨(皮)弁,③デブリードマン後の死腔を洗浄後,創面が肉芽で覆われたら二期的に海綿骨を移植する方法(Papineau法など),④デブリードマン後の死腔に抗菌薬含有スペーサー(ビーズ)を充填し,創面に偽滑膜を誘導し二期的に再建する方法(Masquelet法など),⑤骨切りと外固定フレームによる骨移動によって大きな骨欠損を充填する方法(Ilizarov法)が報告されている2, 4, 5)。4章 骨髄炎115CQ22四肢慢性骨髄炎のデブリードマン後の死腔の充填に筋(皮)弁は有効か?

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る