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■参考文献1) Rao N, Ziran BH, Lipsky BA. Treating osteomyelitis:antibiotics and surgery. Plast Reconstr Surg. 127 Suppl 1:177S-87S, 2011 根拠・解説 慢性骨髄炎の根治には,抗生剤治療に加え,感染あるいは壊死した骨,軟部組織を広範囲に切除することが必要になり1, 2),その際の外科的手技は,以下のように非侵襲的で愛護的な軟部組織の取り扱いを原則とする3-5)。2) Lew DP, Waldvogel FA. Osteomyelitis. Lancet. 364:369-79, 20043) Cierny G 3rd. Chronic osteomyelitis:results of treatment. Instr Course Lect. 39:495-508, 19904) Parsons B, Strauss E. Surgical management of chronic osteomyelitis. Am J Surg. 188(1A Suppl):57-66, 20045) Tetsworth K, Cierny G 3rd. Osteomyelitis ・ 骨のデブリードマンはPaprika signといわれる皮質あるいは海綿骨からの点状出血が得られるまで行う。・瘢痕組織は創縁に緊張を生じ創傷治癒を妨げるとともに,感染源になるため切除する。・骨の血流障害を避けるため骨膜の剥離は最小限にとどめる。・感染周囲に生じた新生骨(骨柩)は血行のある骨でありデブリードマンを必要としない。・ 一般的には皮質骨が70%無傷で残れば固定の必要はないが,全周性あるいは広範囲に皮質骨が骨髄炎に巻き込まれている場合には,創外固定を用いた切除前固定を考慮する。ただし,外科的デブリードマンと抗生剤の併用で治療しても依然再発率は高く,成人の場合,スタンダードな治療をしたとしても20〜30%の再発率があるとする報告6)や,術後12カ月で再発率は30%に達し,とりわけP. aeruginosaが感染していると50%に達するとの報告7)などがある。このことは,すべての壊死組織を適切にデブリードマンしたとしても,その創面にわずかに残存した細菌の培地となる可能性があり,創傷底はまだ汚染していると考えなければならないことを意味している4, 5, 8)。そのため,より効果的にデブリードマンを行うには,より広い方がよいとする報告9)〔健常者群とB host群(何らかのcompromised hostな要素があるもの)において比較検討した報告では,辺縁切除が5mm未満の場合,B host群では健常者群より高い再発率を示した。〕や複数回のデブリードマンで良い結果を得たとする報告10)が参考になる。ただし,四肢慢性骨髄炎の治療の予後は患者の全身状態や基礎疾患にも依存し,慢性骨髄炎という局所の状態だけで,デブリードマンを含む根治術を全例に当てはめることはできない。したがって,根治的な治療をするかどうかは術前の評価が重要で,適切な病期,患者を選択することが,治療の成功に不可欠である3, 11, 12)。以上から,十分なデブリードマンは必要と考えられるが根拠が弱いため推奨の強さと根拠は2Cとした。debridment techniques. Clin Orthop Relat Res. 360:87-96, 19996) Winkler H. Treatment of chronic orthopaedic infection. EFORT Open Rev. 11:110-6, 20177) Mouzopoulos G, Kanakaris NK, Kontakis G, et al. Management of bone infections in adult:the surgeonʼs and microbiologistʼs perspectives. Injury. 42 Suppl 5:S18-23, 20118) Hatzenbuehler J, Pulling TJ. Diagnosis and management of osteomyelitis. Am Fam Physician. 84:1027-33, 2011114第Ⅱ編 感染創診療ガイドライン

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