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た11)。A2 isoforms for early detection of pancreatic cancer. J Gastroenterol 2024; 59: 263—78. 3) Sakai Y, Honda M, Matsui S, et al.; Hokuriku Liver Study Group. Development of novel diagnostic sys-tem for pancreatic cancer, including early stages, measuring mRNA of whole blood cells. Cancer Sci 2019; 110: 1364—88. 1) Kanno A, Masamune A, Hanada K, et al.; Japan Study Group on the Early Detection of Pancreatic Cancer(JEDPAC). Multicenter study of early pan-creatic cancer in Japan. Pancreatology 2018; 18: 61—7. 2) Kashiro A, Kobayashi M, Oh T, et al. Clinical devel-opment of a blood biomarker using apolipoprotein— ctDNA は,腫瘍細胞から放出される DNA 断片である。膵液サンプルからの KRAS 変異の検出が行われたメタアナリシスにおいて感度 38~89%,特異度 13~100%と報告されているが,早期膵癌の診断には感度が不十分との指摘がある6)。CTC は,腫瘍から血液中に遊離・循環している腫瘍細胞を検出・評価する手法であり,CTC における膵癌の診断能を評価したメタアナリシスでは感度 74%,特異度 83%と報告されている。しかしながら,CTC の感度は腫瘍の種類や病期に依存し,早期の腫瘍では血液中に放出される腫瘍細胞の数が少ないこと,門脈を通過する際に CTC が捕捉される可能性があること,膵癌で血流低下がある症例では感度が低下する可能性が指摘されている5, 8)。エクソソームに含まれる miRNA は最も有望なバイオマーカーの一つとして注目されている6)。メタアナリシスでは,エクソソームの解析による診断能は感度 93%,特異度 92%と高い診断能を示しており,PCR やフローサイトメトリーによる検出が可能である8, 9)。膵癌の診断における ctDNA,エクソソーム,CTC を比較したメタアナリシスの結果からは,エクソソームがスクリーニングと診断の両方に適しているのに対し,ctDNA は特異度が高いものの感度が低く,CTC については,感度は中等度であるが特異度が低いという結果であった5)。日本の 14 施設で実施された多施設共同研究において,100 種の血清 miRNA と CA19‒9 の組み合わせを機械学習で評価する診断モ デ ル が 検 討 さ れ, 膵 癌 の 診 断 に お い て CA19‒9 単 独 の 曲 線 下 面 積 は 0.88(95%CI:0.84‒0.93)であったのに対し,miRNA モデル単独の曲線下面積は 0.94(95%CI:0.91‒0.97),miRNA+CA19‒9 を組み合わせた複合モデルの曲線下面積は 0.99(95%CI:0.98‒1.00)であり,複合モデルが良好な診断能を示した。さらに,早期膵癌(Stage 0,Ⅰ)においても miR-NA+CA19‒9 モデルは曲線下面積 0.97,感度 67%,特異度 98%と良好な成績を示した。これにより,早期膵臓癌のスクリーニングと無症状の患者の除外診断における有用性が示され 膵癌以外のバイオマーカーの実用化に向けては,大規模な前向き研究による検証,標準化された検出方法の確立,他がん種や良性疾患との鑑別における特異性の検証,費用対効果の検討などが必要である。現在までの研究では,組織サンプルでの診断能が血清サンプルより高いことが示されているが,臨床応用を考えると非侵襲的な血清検査の方が望ましく,血清での診断精度向上が課題となっている。膵癌の予後改善には早期膵癌の診断が必要不可欠であり,メタボローム解析やリキッドバイオプシーによるバイオマーカーはその有力なツールとなる可能性がある。 ▶ 引用文献  130  1.診断法(Diagnosis)〔D〕

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