第2版について題であり,皮膚にも多様な合併症が現れる。本章では細菌感染症の視点から症例を呈示し,特に多剤耐性菌による皮膚障害を強調して評価・対処方法を紹介したい。また,帯状疱疹も皮膚合併症のひとつであり,患者に対する負担が大きいため,本章で症例を呈示した。「血管・血栓症に関連した有害事象」では,薬剤点滴静注に伴う投与時反応や血管外漏出(溢出),がん合併症として皮膚にも症状が現れる静脈血栓塞栓症を紹介する。また,本章の後半では「支持医療薬による副作用」に言及し,支持医療で生じ得る課題について,皮膚科診療からポイントを紹介し,注意喚起を行いたい。 皮膚障害の診療やケアに関して,読者のなかには「皮膚障害は難しい。どのように診断し,評価すればよいかわからない」と感じる方がいるのではないだろうか? 正直に申し上げると,わたしもその一人である。初版から7年経ち,皮膚障害対策は終わるどころか課題が増え,本書のページ数も予想外に増えた。皮膚障害は本当に難しい。しかし,それを読み解くことが「やりがい」でもある。読者の皆様には,ぜひ本書で皮膚障害に関する支持療法の面白さを体感し,各医療施設で取り組んでいる支持医療に役立ててほしい。そして,本書がJASCCがん支持医療ガイドシリーズの一冊として患者の福音になることを願ってやまない。この場を借りて,初版から本書の作成に携わった山﨑直也医師(JASCC Oncodermatology部会 前部会長),柳 朝子看護師(同 副部会長)を始め執筆にご協力くださった皆様に感謝する。また,診療とケアをとおして本書の作成にご協力くださった聖隷浜松病院の皆様,皮膚科学と感染症をご指導くださった故荒田次郎先生(岡山大学 名誉教授)に深く感謝する。最後に,小杉貞子さん(金原出版)に深い謝意を表す。小杉さんの迅速な編集と温かいお声がけがなければ,本書は何年経っても日の目を見ることはありませんでした。本当にありがとうございました。日本がんサポーティブケア学会Oncodermatology部会 部会長 平川聡史最後にxvii
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