1bca■第6章 がん治療に伴う合併症投与,鎮痛および鎮痛補助薬(アセトアミノフェン注射薬1,000 mg 8時間ごと,ミロガバリン20 mg/日内服,セレコキシブを中止),潰瘍治療薬(プロスタンディン®軟膏)外用診断名:汎発性帯状疱疹重症度評価:Grade 3,重症関連薬剤:パクリタキセル,カルボプラチン,ベバシズマブ支持療法: 抗ウイルス薬(アシクロビル注射薬300 mg,8時間ごと)静脈内〔概要〕60代女性。原発不明がん,多発肝転移に対して卵巣がんの標準治療(パクリタキセル,カルボプラチン,ベバシズマブ)を開始した。24h—クレアチニン・クリアランス89 mL/min。Grade 4好中球減少のため,2サイクル目を延期した。26日目,左耳介,左側頭部~頸部左側に紅暈を伴う小水疱が現れた(図1a)。皮疹部にピリピリする疼痛を伴う。水疱は,背部右側など他の皮膚分節(デルマトーム)にも散在した(図1b,c)。汎発性帯状疱疹と診断し,入院治療を開始した。左顔面神経麻痺や同側第Ⅷ脳神経障害(難聴,めまいなど)を認めなかった。図1 がん薬物療法に伴う汎発性帯状疱疹,Grade 3,初診時a.左C2領域。左耳介を囲むように左側頭部~左後頭部および耳介下部に紅暈を伴う小水疱が集簇・多発200する(矢頭)。耳介には発赤あり。b.左C3領域。頸部左側~左鎖骨上まで紅暈を伴う小水疱が集簇・散在する(矢印)。c.右Th5領域。背部に紅色丘疹および小水疱が帯状に散在する。症例
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