■第1章 分子標的薬そのため治療開始時にはこれらの症状の早期発見・早期対処のための患者教育が重要となってくる。また皮疹が出現した場合には重篤化を防ぐため,看護師は皮膚・粘膜の観察とアセスメント,症状を画像で記録に残すことを心掛け,医師・薬剤師と情報共有を行うとともに必要時には皮膚・粘膜のケアを行う。するように患者に伝える。また皮疹出現に伴い発熱する,眼瞼が充血する,口腔内が荒れている,排尿時痛があるなどの症状が出現した場合は直ちに医療機関に連絡をするように患者に伝える。皮膚のケア 皮疹に対しては副腎皮質ステロイド外用薬を塗布する。使用量は1 FTU(第2指の先端から第一関節まで乗る量約0.5 g)で両手2枚分相当に,1日2回塗布する。皮疹が破綻し滲出液や疼痛が生じている場合は炎症性皮膚疾患治療薬(アズノール®)や白色ワセリンといった軟膏が処方されていれば病変部に塗布し,非固着性の創傷被覆材で保護する。粘膜のケア 多形紅斑が重篤化すると皮膚病変にとどまらず,粘膜にも病変が出現する(図1)。特に眼は角膜に障害が残る可能性もあるため,直ちに医師に報告するとともに処方された副腎皮質ステロイド点眼薬や軟膏を確実に点眼すること。また口腔内はアズレン咳嗽液(アズノール®うがい液等)で保護するとともに,口腔内は清潔に保ち,二次的に口腔内カンジダが疑われ,口腔内抗菌薬ゲルが処方された場合は使用法を患者に指導する(図2)。図1 眼瞼結膜充血82●多形紅斑のケア 近年,短時間で投与可能ながん薬物療法は外来で実施されることが主流となってきている。●指導のポイント マルチキナーゼ阻害薬の使用開始時には他の有害事象とともに,皮膚症状(皮疹)の観察を●具体的ケア(柳 朝子)図2 口腔内の広範囲の発赤と血性痂皮を伴うびらんスキンケアのポイント
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