分子標的薬第1章1.EGFR阻害薬 2.皮膚乾燥〔経過〕Strongest classの副腎皮質ステロイド(デルモベート®軟膏)外用を行い,抗アレルギー薬(アレジオン®)20 mg/日内服を開始した。15病日,セツキシマブを中止した。29病日,治療効果が現れ,疼痛,そう痒,睡眠障害は消失した。43病日,セツキシマブを一段階減量して再開し(80%へ減量),ロキシスロマイシン300 mg/日内服を併用して皮膚症状を予防した(図2)。その後,乾燥や疼痛なく,そう痒(VAS 2)に対してmedium classの副腎皮質ステロイド(リドメックス®軟膏など)を外用している。わずかにざ瘡様皮疹が散在するものの湿疹は再燃せず(図3),原病に対する薬物療法を継続し,SD(stable disease)を維持している。 セツキシマブ250 mg/m2を毎週投与した場合,自験例では乾燥・湿疹を認めなかった。しかし,倍量・隔週でセツキシマブを投与すると重篤な乾燥・湿疹が現れた。血中セツキシマブ濃度が上昇したことが示唆されたため80%へ減量し,至適濃度を検討した。 ミノサイクリンによる肝障害を生じたため,抗炎症作用をもつロキシスロマイシンを代替薬として選択し,ざ瘡様皮疹および湿疹・皮膚炎を予防した。 家族の協力を得て外用療法を継続し,皮膚の乾燥や皮膚症状を予防した。自験例では皮膚に対するセルフケアがなされ,がん薬物療法を再開・継続できた。図2 経過,43病日丘疹は消失し,線状に色素沈着が残存する。図3 経過,71病日セツキシマブ再開後,2サイクル実施した。色素沈着は淡くなり,湿疹・皮膚炎が再燃する兆しはない。毎日,家族がリドメックス®軟膏を外用し,乾燥も消失した。(平川聡史)27ここがポイント
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