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初期の病期分類 悪性胸膜中皮腫病期分類(AJCC/UICC‒TNM第7版)は,1994年のIASLCとIMIGの合同ワークショップの結果,既存のデータベースの分析から作成されたIMIG分類1)をUICCとAJCCが承認するかたちで作成され,世界で広く使用されるに至った(AJCC/UICC‒TNM第6および第7版)2)。第一期データベース しかし,上記のIMIG分類は比較的規模の小さな外科症例の後方視的解析に基づいていたため,データベースに基づく改定が必要であった。そこで,IASLCとIMIGの協力の下に大規模な国際的データベース(1995~2009年に集積された3,101症例,うち2,316例が解析対象)が構築された。その解析の結果,いくつかの改善すべき点が同定された3)。第二期データベース そこで,IASLCは1995~2013年に診断された症例の提出を追加研究者から募り,29施設から3,519例(解析対象は2,460例)が登録され,この解析に基づいて,AJCC/UICC‒TNM第8版が作成された4)~7)。第三期データベース IASLCは2013~2022年に診断された患者7,338症例を集積し,このうち3,598症例が解析対象となってAJCC‒TNM第9版が作成された8)~13)。 第9版では特にT因子を中心に大幅な改定が行われた9)。主な改定項目は以下の通りである。 (1)葉間胸膜が他の胸膜とは別に扱われる。 (2)cT因子のみに,以下の大幅な改定がなされた。  (ア)Pleural thickness(胸膜厚)が初めて採用された。  (イ) 第8版でT2とされていた非貫通性横隔膜浸潤および肺実質浸潤,T3とされていたendo-thoracic fascia(胸内筋膜)浸潤,非貫通性心膜浸潤はいずれも信頼性に乏しいとしてcT規定因子から除外された。 (3) pT因子は,葉間胸膜浸潤をT2とすること以外に変更はなかった。したがって,cT因子とpT因子では内容が異なることになった。 (4)NおよびM因子について変更はなかった。 (5)病期分類が変更された。 胸膜中皮腫のTNM分類は第8版まではUICCとAJCCから同一の内容が同時期に発表されてきたが,2025年2月現在,UICC第9版は未発表である。Ⅰ.はじめに

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