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病理診断6図3.上皮様中皮腫:腺管乳頭状異型上皮様細胞が乳頭状および腺管形成を示して増殖する。図4.上皮様中皮腫:索状異型上皮様細胞が索状に配列する。Ⅴ.胸膜腫瘍  75その詳細は別項に示す(p79~86参照)。(1)組織構築パターン architectural patterns 組織構築パターンは予後に関連するため,記載することが望まれる。a.腺管乳頭状 tubulopapillary 異型上皮様細胞が乳頭状および腺管形成を示して増殖するもの(図3)。b.索状 trabecular 異型上皮様細胞が索状配列を示して増殖するもの(図4)。c.微小乳頭状 micropapillary 異型上皮様細胞が線維血管性の間質を伴わず,小乳頭状構造を示して増殖するもの(図5)。本構築があるとリンパ管侵襲をきたしやすい傾向があり,予後不良を予測する。d.充実性 solid 異型上皮様細胞が充実性増殖を示すもの(図6)。微小乳頭状と同様に予後不良を予測する。e.アデノマトイド adenomatoid 異型性の低い扁平化した上皮様細胞が小囊胞状構造を示すもの(図7)。良性のアデノマトイド腫瘍(p101参照)との鑑別が問題となる場合があるが,明らかな浸潤像を認める。腫瘍の全体像を把握できるような組織採取法が推奨される。(2)細胞学的特徴 cytological features 細胞形態は予後に関連するため,記載することが望まれる。a.淡明細胞 clear cell グリコーゲンや脂質の貯留により淡明な細胞質を有するもの(図8)。腎細胞癌などとの鑑別が必要な場合がある。b.ラブドイド rhabdoid 豊富な細胞質と偏在核をもつ細胞が個々単離して,あるいは緩い結合性を示しつつ増殖するもの(図9)。細胞質には硝子化した胞体内封入体様構造が存在し,予後不良を予測する。

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