107107膵がんに対するエックス線治療では、高エネルギーのエックス線を複数回に分けて病巣に当てる治療が行われます。主に、局所進行期の膵がんに、化学療法と並行して行われ、これを「化学放射線療法」と呼びます。一方、膵がんが骨などに転するときは、放射線療法単独で行われます。粒子線は、体の中をある程度進んだところで急激に高いエネルギーを周囲に与え、そこで消滅するという性質を持っています。つまり、病巣部周囲にのみ高いエネルギーで大きなダメージを及ぼし、そこまでの「通り道」が受ける損傷は小さくするような調整が可能なのです。局所進行切除不能膵がんに対する重粒子線と陽子線治療は2022年4月から保険適用となり、治療効果の向上が期待されています。薬物を投与することでがん細胞を死滅させ、病気の進行を抑える治療法で、「薬物療法」とも呼ばれます。近年、術後のがんの再発を防ぐために、手術の前後に一定期間、薬を投与する「術前・術後補助療法」の有効性が証明され、多くの施設で行われるようになりました。また手術ができない場合でも、がんを攻撃する目的で化学療法が行われることがあります。この場合は、「患者さんが副作用に耐えられる範囲内で」という条件付きで、効果が出ている間、投与が続けられます。効果の出方には個人差がありますが、中にはかなりよく効くケースもあります。化学療法で使われる薬には、いずれも「副作用」が出ることがあります。副作用の出方や強弱は人によって異なりますが、次項の「支持療法(232ページ用語集参照)」を上手に行うことで、治療が長く継続できるようにサポートを受けることができます。化学療法で使われる薬の分類は以下の通りです。てんい移して起きる「痛み」を緩和する目的で放射線を照射(1)エックス線治療(2)粒子線治療化学療法
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