0%0%0%0%(19/19)肺癌 Ⅰ.肺癌の診断 〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D,合意率:100%〕〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C,合意率:83%〕解 説 最初に行うべき検査は胸部X線であるが,胸部X線は病変の部位や読影者により検出力にばらつきがあり,実臨床でも19%の見落としが報告されており1),偽陰性となるリスクにも注意を要する2)3)。胸部X線で異常がある場合は,胸部CTを行う。胸部CTは,肺癌を検出する形態診断法として,現時点で最も有力な検査である4)。特に,早期肺癌や限局性のすりガラス陰影においては,CT検査が最も有用である4)5)。胸部CTでは病変のサイズや存在部位(気管支内病変,血管構造の近傍など),スライス厚の他,読影者によっても検出能が異なる6)7)。なお,総論でも述べたように本ガイドラインは検診ではなく,肺癌の診療を対象としている。無症状者に行う「検診」には特有の不利益が存在するため「肺がん検診ガイドライン」等を参照されたい。エビデンスの強さはD,ただし総合的評価では行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2020年解 説 喀痰細胞診は,非侵襲的で簡便に行える肺門部早期肺癌の唯一のスクリーニング法である。肺癌症例における喀痰細胞診の検出感度は約40%にすぎない8)が,喀痰細胞診で発見されたX線陰性肺癌は長期生存例の割合が高いことも報告されている9)。また,喀痰細胞診を胸部X線写真に追加するスクリーニング法の有効性を検討したランダム化比較試験であるJohns Hopkins Study10)とMemorial Sloan—Kettering Study11)では,喀痰細胞診を追加したグループにおいて早期癌の割合,切除率,5年生存率が上昇することが示された。肺癌死亡率の減少効果に関しても,両studyを長期追跡した混合解析の結果,有意差はないものの死亡率を12%低下させる傾向が認められた12)。日本肺癌学会,日本臨床細胞学会,日本呼吸器内視鏡学会合同のアンケート調査結果からも,喀痰細胞診は肺門部肺癌の行うことを推奨100%行うことを弱く推奨(提案)推奨度決定不能行わないことを弱く推奨(提案)1.検出方法 11行わないことを推奨CQ1. 肺癌の検出に胸部X線と胸部CTは有用か?CQ2. ハイリスク群を対象とした肺門部肺癌の検出に,喀痰細胞診は有用推 奨か?推 奨肺癌の検出に胸部X線と胸部CTを行うよう推奨する。 ハイリスク群では肺門部肺癌の検出に喀痰細胞診を行うよう推奨する。
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