(17/17)0%0%0%0%(17/17)胸腺腫瘍 Ⅰ.診断 〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D,合意率:100%〕〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D,合意率:100%〕解 説 本邦の大規模な調査では胸腺腫症例の約23~25%に重症筋無力症が合併すると報告されている1)2)。また,ITMIGデータベースを用いた欧米の報告によれば,胸腺上皮性腫瘍の32.8%に重症筋無力症の合併を認めた3)。胸腺腫に合併した重症筋無力症では,ほとんどが抗アセチルコリン受容体抗体が陽性である。胸腺癌においても重症筋無力症の合併を少数に認めた報告がある2)4)。 また,無症状の胸腺腫患者においても術後重症筋無力症が0.9~20%に発症することが報告されている(postthymectomy myasthenia gravis)。術前に無症状の患者に術後重症筋無力症が発症する場合,多くは術前の抗アセチルコリン受容体抗体が陽性である5)。 以上より,胸腺上皮性腫瘍を疑う前縦隔腫瘍患者に抗アセチルコリン受容体抗体の測定を行うことが推奨される。エビデンスの強さはD,また総合的評価では行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。投票者の所属委員会:胸腺腫瘍小委員会/実施年度:2022年解 説 赤芽球癆は胸腺上皮性腫瘍例の0.7~2.6%に合併すると報告されている1)~3)6)。胸腺上皮性腫瘍を疑う前縦隔腫瘍患者においては血球数検査を行い,貧血症状が認められる場合は貧血精査を行うことが推奨される7)8)。また胸腺腫患者における赤芽球癆の存在は予後不良となり得るため,注意が必要である6)。エビデンスの強さはD,また総合的評価では行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。投票者の所属委員会:胸腺腫瘍小委員会/実施年度:2022年行うことを推奨100%行うことを推奨100%行うことを弱く推奨(提案)推奨度決定不能0%行うことを弱く推奨(提案)推奨度決定不能行わないことを弱く推奨(提案)0%0%行わないことを弱く推奨(提案)1.臨床症状と血液検査 427行わないことを推奨0%行わないことを推奨CQ1. 胸腺上皮性腫瘍が疑われる場合,血清抗アセチルコリン受容体抗体CQ2. 胸腺上皮性腫瘍が疑われる場合,血球算定は勧められるか?の測定は勧められるか?推 奨推 奨血清抗アセチルコリン受容体抗体の測定を行うよう推奨する。 赤芽球癆の存在の確認のため,血球算定を行うよう推奨する。
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