(20/20)悪性胸膜中皮腫 Ⅰ.診 断 b . 胸膜中皮腫の患者を対象に存在診断に関する単純/造影CTに対するMRIの有用性を検討した比較試験はない。また,MRIは常にCTに付加する情報が得られるわけではなく,実臨床において多くの施設で存在診断のためにルーチンに用いられていない5)。 〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C,合意率:100%〕〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C,合意率:65%〕投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年行うことを推奨100%行うことを推奨度決定不能弱く推奨(提案)0%行わないことを弱く推奨(提案)0%0%解 説 a . 胸膜中皮腫の患者を対象に単純CTに対する造影CTの有用性を検討した比較試験はない。 存在診断時には,胸膜不整所見の有無が重要な所見となるが,造影剤を使用することにより胸膜不整のより詳細な描出が可能となる1)2)。 胸膜中皮腫が存在する際には血性胸水を伴うことが多く,漏出性胸水に比し高吸収化する。その場合単純CTのみでは,胸膜と胸水のコントラストが付きづらい場合がある。造影剤を使用することにより中皮腫病変は造影され,より詳細な胸膜所見の描出が可能となる3)。 また胸膜プラークが同時に存在する場合に中皮腫は造影効果を有するのに対し,胸膜プラークは造影効果を認めず,その鑑別が容易となる4)。 以上より,エビデンスの強さはC,また総合的評価ではCT撮像時に造影剤を使用することを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。 以上より,エビデンスの強さはD,また総合的評価では胸膜中皮腫の存在診断において胸部単純/造影CTに加えMRIを行わないことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。1.画像診断 355行わないことを推奨0%CQ1. 胸膜中皮腫の存在診断に, a.胸部造影CT b.胸部単純/造影CT+胸部MRI c.胸部単純/造影CT+FDG—PET/CT は勧められるか?推 奨 a . 胸膜中皮腫の存在診断に,胸部造影CTを行うことを推奨する。 b . 胸膜中皮腫の存在診断に,胸部単純/造影CTに加え胸部MRIを行わないことを推奨す〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D,合意率:85%〕る。 c . 胸膜中皮腫の存在診断に,胸部単純/造影CTに加えFDG—PET/CTを行わないことを推奨する。
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