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*:常に最新のサイトを参照する必要あり3541膵癌の臨床試験に関する患者側の要望 今回の検討で最も重要度が高いと判断された項目である。膵癌に関する標準治療や抗がん薬治療以外の選択肢についての情報収集に関して,患者アンケートからは,「抗がん薬以外の治療選択肢がないのか知りたい」,「膵癌に対する標準治療である抗がん薬の効果がなくなった場合の治療選択肢について知りたい」といった声が多く寄せられた。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)をはじめとする治療に関する意思決定支援とともに,膵癌に対する標準治療以外の治療選択肢を検討するうえで臨床試験の存在は非常に重要であり,医療者は患者家族に対して「臨床試験に関する十分な説明と情報の提供」が求められる1, 2)。2膵癌の臨床試験に関する医療者側の課題と対策 膵癌に対する標準治療は現在でも選択肢が限定されており,標準治療が奏効しなくなった段階で,医療者は患者および家族から他の治療法の提示を求められる場合が多い。臨床試験への参加は選択肢の一つとなるが,医療者側には以下の課題が存在すると推測される。課題 ①膵癌に関する臨床試験への理解不足 膵癌の診療に従事する医療者における,臨床試験の仕組みに対する理解度に関して,担当医,施設間の格差が存在しており,特に研究段階の医療に関しての情報収集に限界がある。対策 「臨床試験の仕組みに関する情報提供制度の利用」課題 ②ゲノム医療に関する啓発・体制が未整備 近年の急速なゲノム医療の展開に伴い,膵癌に関してもBRCA1/2変異に関する診断・治療が一部保険収載されるなど,germline,somatic mutation両者に関する医療者側の理解,対応可能な診療体制の整備が早急に必要である。今後急速な適応拡大が予想され,ゲノム診療に関する患者側からの申し出に円滑に対応する必要がある。対策 「ゲノム医療連携/拠点/中核病院への紹介」A.国立がん研究センターがん情報サービス 医療関係者向けサイト*https://ganjoho.jp/med_pro/med_info/ct/ct_details.html 研究段階の医療を評価するための臨床試験の基本的な仕組みからさまざまな制度が詳細に紹介されている。B.国立がん研究センターがん情報サービス 一般の方向けサイト*https://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/search2.html 膵癌を含むがんの新しい診断治療法の評価に関する国内の臨床試験検索サイトであり,簡便に検索が可能である。A.がんゲノム医療中核拠点病院等一覧表(厚生労働省ホームページ)*https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html 2021年4月に認可が遅れていたゲノム医療連携病院が多数追加された。コロナ禍などの影響で,この事実がほとんど報道されていないため臨床医への啓発が不十分である。担当医の所属する二次医療圏において該当する中核拠点病院/拠点病院/連携病院を理解することは非常臨床試験―患者・市民グループからの提言―

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