内視鏡治療第IV章要約解説文 食道癌に対する根治的化学放射線療法後に完全奏効を得た場合,内視鏡・CT・PETなどによるサーベイランスが行われているが,本CQは,内視鏡によるサーベイランスの有効性について検討した。本CQに対する文献検索を行った結果,PubMed:421編,Cochrane:26編,医中誌:123編が抽出された。検索結果からは当該対象に対する内視鏡によるサーベイランスの有効性を検討したランダム化比較試験は存在しなかった。二次スクリーニング後に抽出された8編の観察研究と1編のレビュー1—8),および文献検索外論文として4編の論文9—12)を追加してシステマティックレビューを行った。 食道癌に対する根治的化学放射線療法後の遺残・再発の診断のための検査としては血液検査や診察以外にCTなどのイメージング検査や内視鏡検査が用いられている1)。根治的化学放射線療法により完全奏効を得た後の再発形式のうち原発巣再発は20~40%程度と高く,その多くは2年以内に診断されている2,3)。食道内の原発巣再発の内視鏡所見として粘膜下腫瘍様隆起が多く注意が必要である4,9)。内視鏡による生検での原発巣再発の診断は40%程度であるが,内視鏡治療が可能な状態で診断された症例では予後が良い6—8)。また,内視鏡によるサーベイランスでは初回治療対象の部位とは異なる部位や臓器(咽頭や喉頭,胃)の癌の診断も可能となる10)。 根治的化学放射線療法により原発巣が完全奏効になった場合でも,原発巣の再発は多いことから,原発巣の局所再発を早期に発見するために,完全奏効後でも1カ月後の内視鏡検査を行うとともに1年以内は2~3カ月毎に高頻度に観察し,それ以降は4~6カ月毎に行うことが肝要である9)。また,完全奏効にならない場合でも,遺残や再増悪を早期に発見し内視鏡治療11,12)もしくは手術療法等で救済できる場合もあるため,治療直後は高頻度の内視鏡検査を行うこと 食道癌に対する根治的化学放射線療法後に完全奏効を得た場合,再発の有無を確認するためCTや内視鏡などによるサーベイランスが行われるが,食道内の再発の場合,早期に発見できれば救済治療で根治が期待できる場合もあるため,内視鏡によるサーベイランスはQOLや予後の面からも重要である。 根治的化学放射線療法により原発巣が完全奏効になった場合でも,原発巣の再発は多いことから,原発巣の局所再発を早期に発見するために,完全奏効後でも1カ月後の内視鏡検査を行うとともに1年以内は2~3カ月毎に高頻度に観察し,それ以降は4~6カ月毎に行うことが肝要である。また,完全奏効にならない場合でも,遺残や再増悪を早期に発見し内視鏡治療もしくは手術療法等で救済できる場合もあるため,治療直後は高頻度の内視鏡検査を行うことが重要である。Clinical QuestionCQ19根治的化学放射線療法後に完全奏効を得た場合,内視鏡によるサーベイランスは必要推奨文根治的化学放射線療法後に完全奏効を得た場合,内視鏡によるサーベイランスを行うことを強く推奨する。(合意率:89.3%[25/28],エビデンスの強さ:C)IV55か?内視鏡治療
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