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8  Ⅱ.病因・病態認めることが多い6)。 3)IPHの診断基準は,厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班の定めた「門脈血行異常症ガイドライン2018年改訂版」に則る(196頁参照)。 2)臨床所見は,肝腫大,門脈圧亢進症,脾腫・脾機能亢進症,食道・胃静脈瘤などで,相対的に肝機能は保たれている。病理組織学的に肝実質は門脈域を結合する線維化により結節状となるが,肝小葉構造の改変はなく,肝硬変とは異なる9)。 3)CHFは肝線維性多囊胞性疾患(hepaticfibropolycysticdisease)の一つとして位置付けられ,Caroli病および常染色体劣性(潜性)多発性囊胞腎(autosomalrecessivepolycystickidneydisease:ARPKD)と同一の範疇に含まれる疾患である。り,原因の明らかでないものを原発性,明らかなものを続発性と分類する。 2)原発性肝外門脈閉塞症の原因として,最近では先天性形成異常説よりも血栓性静脈炎説のほうが有力視されている。また,続発性肝外門脈閉塞症の原因としては,腫瘍,胆囊胆管炎,膵炎,新生児臍炎,手術,薬剤,肝硬変10),IPHに伴う肝外門脈血栓11)などが主である。 3)特徴的な病態として,肝外門脈の閉塞所見とともに,肝門部領域における求肝性側副血行路の発達と海綿状血管増生(cavernoustransformationoftheportalvein:CTPV)が認められる。また肝機能は,正常ないし軽度の障害に留まる。 4)EHOの診断基準は,厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班の定めた「門脈血行異常症ガイドライン2018年改訂版」に則る(197頁参照)。固異常,骨髄増殖性疾患の関与がいわれている。続発性では肝腫瘍によるものがある。3.先天性肝線維症 congenital hepatic fibrosis(CHF) 1)大部分が常染色体劣性(潜性)遺伝により,小児~青年に多い疾患で,組織学的に肝内胆管板の形成異常,肝内門脈枝の分枝異常,門脈域の進行性の線維化を認める門脈・胆管系の発生異常である。発生頻度は1/10,000~20,000人と稀な疾患で,肝内胆管の肉眼的な囊胞状拡張を伴う場合と伴わない場合がある7,8)。4.肝外門脈閉塞症 extrahepatic portal obstruction(EHO) 1)肝門部を含めた肝外門脈に閉塞が生じて門脈圧亢進を呈するもので,原因疾患の有無によ5.バッド・キアリ症候群 Budd—Chiari syndrome(BCS) 1)原発性と続発性があり,原発性の病因はいまだ不明である。血管形成異常,血栓,血液凝

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