1.作成の主体 教育・研修委員会が中心となり,理事会の意見を参考として,本書の改訂を2021年3月から進めてきました。分担執筆者は原則として乳腺専門医とし,教育・研修委員会委員がレビューアーを務め,日本乳癌学会の責任のもとに編集されました。2.構成の特徴 第3版までの目次構成を基本軸としつつ,目覚ましい乳腺診療の進歩に合わせ,ゲノム診療や予防医療などの最新情報アップデートを反映するとともに,例えば治療分野では治療法別の構成に加え,AYA世代や高齢者乳癌のように横断的な項目も新設するなど,さまざまな視点からのアプローチを意識した総合的な教科書を目指しました。また,各執筆者には,臨床試験結果の羅列にとどまらず,それらに関する話題を包括統合し,診療にどのように適用するか,考察やコンセンサス,最新の動向も加えていただくように依頼しました。将来展望に有益な情報は,一部コラムとして独立させています。 乳癌診療ガイドラインの内容を,診療に即し補完的にかつより詳細に記述する位置づけから,大きな改編を行いました。本書の発刊と同時に,乳癌診療ガイドライン2022年版も改訂発刊されます。その改訂内容すべてを反映できているわけではありませんので,ご留意いただき,2つを上手に活用いただきたいと思います。日本乳癌学会 教育・研修委員会委員長 増 田 慎 三副委員長 山内智香子xvi 2012年の初版発刊以来,本書は乳腺専門医として求められる知識を網羅し,乳腺専門医を目指す医師に必携の教科書として幅広く利用されてきました。また,専門医試験問題作成の基本書ともなっています。 乳腺診療に携わる医師やメディカルスタッフのバイブルとして「乳癌取扱い規約」「乳癌診療ガイドライン」がありますが,本書もその一つとして,診断から病態の理解,治療,患者サポートなど多角面からのアプローチを体系的に構成する工夫を行い,日々の診療の中でも利用いただけるような成書を目指し,このたび改訂第4版を上梓する運びとなりました。 2022年4月から専門医機構による新専門医制度の乳腺外科カリキュラムも正式にスタートしました。外科プログラム研修中の専攻医の先生にも手にとっていただき,本書から乳腺診療の奥深さを感じ,乳腺専門医を志すきっかけにもなれば,と期待しています。 最後に,タイトなスケジュールのなか,執筆や校正にご協力いただきました執筆者の先生方,編集作業にご尽力いただいた金原出版 佐々木瞳氏に厚く御礼申し上げます。『乳腺腫瘍学』の使い方
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