A 手術が適応とならない臨床病期(ステージ)Ⅲ期の非小細胞肺がんの患者さんに対しては,化か学がく放ほう射しゃ線せん療りょう法ほうが選択されます。放射線療法で局所(原げん発ぱつ巣そうと転移した周囲のリンパ節)をしっかりと攻撃し,かつ血管やリンパ管の中に浮遊するがん細胞やきわめて小さくて画像上見えない転移病変を抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)で攻撃することで,遠隔転移を防ぐことを目指します。Q63138第6章 非小細胞肺がんの治療 ― 放射線療法が中心となる治療6—2. 放射線療法が中心となる治療1.放射線療法と併用する化学療法 放射線療法と併用する化学療法として,シスプラチン+ビノレルビン療法,シスプラチン+Sエス—1ワン療法,シスプラチン+ドセタキセル療法,カルボプラチン+パクリタキセル療法などが行われます。シスプラチンとそのほかの抗がん剤を組み合わせる化学療法は4週ごとに2サイクル行われます。カルボプラチン+パクリタキセル療法は週に1回,全部で6回行われます。抗がん剤の副作用で好こう中ちゅう球きゅうや血けっ小しょう板ばんの数がある一定以上低下している場合は,化学療法を延期したり休むことがあります。2.放射線療法の副作用 放射線療法は化学療法と同時に開始し,通常1日に1回,全部で30回(6週間)行います。放射線をあてる皮膚に炎症が起こった場合は軟なん膏こうを塗って対処します。放射線療法により食道の粘膜に炎症が起こり,食べ物や飲み物を飲み込んだときの痛みなどが起こり始めたら,粘ねん膜まく保ほ護ご剤ざいや痛み止めを内服して症状をやわらげます。放射線療法期間中に感染による発熱や食事がとれないほどの食道炎(放ほう射しゃ線せん食しょく道どう炎えん)が起こった場合は,放射線療法を休みます。 放射線を広い範囲にあてすぎると,重い肺炎(放ほう射しゃ線せん肺はい臓ぞう炎えん)を起こす可能性が高く,安全にあてられる範囲には限度があります。リンパ節転移が広い範囲にひろがって,安全に放射線療法を行える限度を超えている場合は,化学療法を先に行い,がんが縮小してから放射線療法を追加する場合もあります。放射線療法の追加が困難であれば,Ⅳ期の患者さんと同様の薬物療法(抗がん剤,免疫チェックポイント阻害薬,分子標的治療薬による治療)が行われます。放射線療法と薬物療法の併用を勧められました。具体的なやり方を教えてください
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