患者さんのための肺がんガイドブック 2021年版 第2版
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●がんの発生要因 肺がんは喫煙との関連が大きく,タバコを吸う人の肺がんになるリスクはタバコを吸わない人に比べて男性で4.4倍,女性で2.8倍と高くなります。また,タバコを吸わない人でも,周囲のタバコの煙を吸うこと(受動喫煙)によって発症するリスクが高くなることもわかっています。タバコ以外の要因として,職業や環境による要因〔石綿(アスベスト),ラドン,ヒ素,クロム,PM2.5など〕や慢まん性せい閉へい塞そく性せい肺はい疾しっ患かん(COPD),間かん質しつ性せい肺はい炎えん,肺がんの家族歴や既往歴などがリスクを高めると考えられています。 がんの原因になる遺伝子の傷は,さまざまな外的な要因や,もともとのひとりひとりのなりやすさによって起こると考えられています。しかし,いきなりがんになるのではなく,何段階かの遺伝子変化を経て,がん化するとされています。正常な細胞が,前がん病変からしだいに悪性化してがんに変わり,転移のしやすさも遺伝子変化によって影響を受けます。遺伝性腫瘍のように生まれつき遺伝子変化がある場合は,もともと遺伝子変化をもっているため,より早い段階でがんになりやすく,肺以外の臓器でもがんが起こりやすくなります。第1章肺がんについて非遺伝性腫瘍遺伝性腫瘍17 ひとつの細胞ひとつの細胞図 がんの多段階発がん遺伝子変化①遺伝子変化②遺伝子変化③正常組織前がん病変がんの発生転 移

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