●浸潤●リンパ行性転移●血行性転移●腹膜播種124 大腸癌は腸の一番内側の粘膜にできて,腸の壁を破壊しながらだんだん大きくなり,最後に腸の壁を突き破って周囲の臓器に広がっていきます。このような癌の広がり方を浸潤といいます。 リンパ管は,血管のようにからだ中に張り巡らされています。 リンパ管は途中にリンパ節という節目があり,そこからさらに枝分かれしていきます。このように,リンパ管とリンパ節は,線路と駅の関係に似ています。 リンパ管に侵入した癌細胞は,途中のリンパ節に流れ着いて増殖します。これをリンパ行性転移といいます。癌細胞は次のリンパ節に流れていき,次第に遠く離れたリンパ節にも転移していきます。 リンパ節転移の仕方には,一定の規則性があり,リンパ液の流れに沿って,近くから遠くのリンパ節に広がっていきます。 癌細胞が腸の細い静脈に侵入し,大腸から離れた臓器に流れついて,そこで増殖することを血行性転移といいます。 大腸からの血流は,まず肝臓に集まることから,大腸癌で最も血行性転移の頻度が高いのが肝臓です。次に頻度が高いのは肺転移です。癌が進行すると,骨や脳などの全身の臓器に血行性転移を起こすこともあります。 “播種”という文字が表すように,種が播まかれるように癌が転移することです。 増大した癌は腸の壁を突き破って,腸管を覆う腹膜に顔を出します。 そこから腹腔内に散らばった癌細胞は,芽を出すように大きくなります。 進行すると,腹膜播種がお腹の中全体に広がり,腹水,発熱,嘔吐などの症状がみられる癌がん性せい腹ふく膜まく炎えんとなります。大腸癌の広がり方(図9) 大腸癌は大腸の粘膜に発生した後,大腸で増殖して大きくなるとともに,転移により全身に広がっていきます。 転てん移いとは,最初に癌が発生したところから離れた場所に飛び火して増殖することです。最初に癌が発生したところを原げん発ぱつ巣そう,飛び火したところを転てん移い巣そうといいます。 大腸癌の広がり方には,浸しん潤じゅん,リンパ行こう性せい転てん移い,血けっ行こう性せい転てん移い,腹ふく膜まく播は種しゅがあります。
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