図36 ロボット支援下手術操作台操作台(執刀医)(執刀医)58モニターモニター医師医師ロボットロボット患者患者助手助手AQ5‒4 ロボット支援下手術について教えてください。とよく相談の上で手術方法を決める必要があります。 大腸癌に対する手術には,開腹手術,腹腔鏡下手術,ロボット支援下手術があります(31ページ「腹腔鏡下手術」参照)。大腸癌に対するロボット支援下手術は,2018年4月に直腸癌に対する術式として保険適用となりました。ロボット支援下手術とは,腹ふく腔くう鏡きょう下か直ちょく腸ちょう切せつ除じょ術じゅつをロボット支援下に行うものです。術者は操作部に座り,患者さんの体の近くにおいたロボット本体を遠隔で操作します。腹腔鏡下手術と異なる点として,より高性能な3Dカメラを使用していること,鉗かん子しに関節があり自由に曲がること,カメラも鉗子も手振れがしないことなどから,より繊細で精密な手術を行うことができます(図36)。結果として,癌をしっかり取り切ること(癌の根治性)とともに直腸の周囲に存在する神経を確実に温存することで,排尿・性機能障害を回避することが期待されています。ただし,現時点では,ロボット支援下手術の治療成績や合併症の頻度についてはまだ十分に検証されておらず,今後の課題といえます。
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