¾T:腫瘍浸潤径。予後予測因子の一つ。¾N:腋窩リンパ節転移。転移個数が増えるに従って予後不良となる。関連課題:薬物CQ11「ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対して,多遺伝子アッセイの結果によっ関連課題:病理診断FRQ5「浸潤性乳癌におけるPD—L1検査はどのように行うか?」関連課題:病理診断BQ3「ホルモン受容体検査はどのような目的で,どのように行うか?」18Ⅲ.早期乳癌(StageⅠ‒ⅢA)(Stage0以外)【豆知識】ERとPgRの生物学的・臨床的意義PgRは,ERと列記されることが多いが,乳癌における生物学的・臨床的意義はERとは大きく異なる。ERは,内分泌療法の治療効果予測因子であるとともに予後予測因子でもあるが,PgRは予後予測因子としての意味合いが強い。ERは,転写因子であり,リガンドであるエストロゲンと結合して,DNA上のエストロゲン応答配列(estrogen responsive element;ERE)などに結合して,5,000以上の下流の標的遺伝子の発現を促進する。一方,PgRはERの標的遺伝子の一つであり,乳癌の増殖への関与は明らかでない。ERとPgRがともに陽性であることは,乳癌の増殖においてER経路が機能している乳癌であると解釈される。関連課題:病理診断BQ3「ホルモン受容体検査はどのような目的で,どのように行うか?」関連課題:病理診断BQ4「HER2検査はどのような目的で,どのように行うか?」て,術後化学療法を省略することは推奨されるか?」関連課題:病理診断総説3「浸潤性乳管癌の病理学的グレード分類」 2 ) 予後予測因子(prognostic factor)(1) 臨床病期(Stage)(2) HER2(human epidermal growth factor receptor 2)抗HER2療法の治療効果予測因子であるとともに,予後予測因子でもある。タンパク過剰発現またはDNAの遺伝子増幅の有無で評価する。(3) 多遺伝子アッセイ化学療法の治療効果予測因子。予後予測因子でもある。Oncotype DXなどを用いて癌組織の遺伝子発現を評価し,化学療法の効果を予測することができる。(4) BRCA1/2遺伝子PARP〔poly(ADP—ribose)polymerases〕阻害薬(オラパリブ)の治療効果予測因子。病的な生殖細胞系列のBRCA1/2遺伝子変異(以下,BRCA病的バリアント)の有無は,PARP阻害薬の治療効果予測因子である。(5) PD—L1(programmed cell death 1 ligand 1)発現免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測因子。(2) グレード組織学的グレード(腺管形成スコア+核異型スコア+核分裂像スコア)または核グレード(核異形スコア+核分裂像スコア)で評価する。(3) ホルモン受容体(HR)ERは内分泌療法に対する治療効果予測因子であるとともに,予後予測因子でもある。PgRは予後予測因子としての意味合いが強い。
元のページ ../index.html#8