0または1の症例であった2)。 一次薬物療法としてソラフェニブとプラセボを比較する第III相試験の組み入れ条件は,薬物療法歴のない切除不能肝細胞癌で,Child—Pugh分類AかつECOG perfor-mance status 0または1の症例であった3,4)。 二次薬物療法としてレゴラフェニブとプラセボを比較する第III相試験の組み入れ条件は,切除,穿刺局所療法,塞栓療法対象外の進行肝細胞癌で,また,ソラフェニブに忍容性があり,ソラフェニブ治療の効果が画像診断上進行と診断されたChild—Pugh分類AかつECOG performance status 0または1の症例であった5)。 二次薬物療法としてラムシルマブとプラセボを比較する第III相試験の組み入れ条件は,ソラフェニブ治療にて進行またはソラフェニブに不耐となったAFP 400ng/mL以上の切除不能肝細胞癌で,Child—Pugh分類AかつECOG performance status 0または1の症例であった6)。 二次あるいは三次薬物療法としてカボザンチニブとプラセボを比較する第III相試験の組み入れ条件は,前治療歴(過去にソラフェニブ治療を含む計2剤までの全身療法を許容)のある切除不能肝細胞癌で,Child—Pugh分類AかつECOG performance status 0または1の症例であった7)。 以上,現在保険収載されている薬物療法の開発試験における組み入れ条件として,1)切除不能肝細胞癌であること,2)肝予備能がChild—Pugh分類Aであること,3)ECOG performance statusが0か1であること,の3条件が共通している。■解 説 薬物療法の開発においては,有効性,安全性を確認するために,対象に対する条件設定が必要となる。肝細胞癌に対する薬物療法のターゲットは,切除などの局所治療が対象となる腫瘍状態に対する再発あるいは増悪抑制を目的とするものと,局所治療では治療困難な腫瘍状態に対するものに大別される。現在までにこれらを対象とした薬物療法の開発が数多く行われているが,保険収載に至っているものは後者のみであり,補助化学療法は確立していない。すなわち現在,保険収載されている薬剤の開発対象(治験の組み入れ条件)は,「切除不能肝細胞癌」であり,またこれら薬物の開発治験(第III相試験)の組み入れ条件が,ECOG performance statusが0か1,かつ肝予備能がChild—Pugh分類Aであったことから,本CQに対する推奨は,「外科切除や肝移植,穿刺局所療法,TACEなどが適応とならない進行肝細胞癌で,PS良好かつ肝予備能が良好なChild—Pugh分類A症例」とした。言いかえれば,この条件においてのみ有効性,安全性が確認されている。すなわち,この条件で有効性および安全性が担保されているということになる。 エビデンスの強さに関しては,本条件と別条件を比較した第III相試験が存在しないため,エビデンスレベルを決定することは難しいが,今回適応について採用した各種薬物療法の論文が第III相試験であるRCTであることから,エビデンスの強さAとした。CQ 38211
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