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として肝切除を推奨する」について委員による投票の結果,強い推奨となった。行うことを強く推奨する100%(18名)100%(18名)行うことを弱く推奨する0%(0名)0%(0名)行わないことを弱く推奨する0%(0名)投票総数:18名(COIにて棄権:4名)例は全身麻酔を必要とし,入院期間が長く,合併症も多いため,RFAの非侵襲性を考え第一選択をRFAとするべきかどうか議論されたが,あくまでもエビデンスとしては2つの治療に差がないこと,SURF試験は本邦からの重要なRCTではあるが,目標症例数600例の半数程度にしか達していないことから,第4版の切除を第一選択,焼灼療法を第二選択とする推奨を覆すまでのエビデンスではないと判断され,切除と焼灼療法は同等に有効であると推奨するに至った。 切除とRFAの比較を含むRCT以外の論文では,韓国のレジストリー研究においてLeeらは単発3~5cmの肝細胞癌に対し背景をマッチさせて解析を行い,RFAはTACEより予後良好であり切除に匹敵することを報告した19)。またCucchettiらは平均治療効果という手法を用いた観察研究で,切除がRFAやTACEより予後良好な可能性を示唆した。しかし2cm以下では切除とRFAの差は少なくなる20)。Takayasuらは日本肝癌研究会の全国原発性肝癌追跡調査報告のデータを後ろ向きに検討し,背景をマッチさせた単発,2cm以下の乏血性の肝細胞癌に対する治療において,切除とRFA,エタノール注入療法の間で全生存率に差を認めず,無再発生存率は切除が他2群より良好であったと報告した21)。いずれの研究もエビデンスレベルにおいてRCTに及ばず,推奨文作成のエビデンスとしては取り入れられなかった。 今回新たに放射線治療についても検討された。放射線治療は外来通院での短期間治療が可能な低侵襲的治療であり,局所療法で穿刺困難な部位の腫瘍や外科治療困難な状態の患者にも適応可能なことが多い。Haraら15),Kimら16)の背景をマッチさせた報告では,SBRTはRFAと比べ同等の予後と高い局所制御率が報告されている。Shibaらは重粒子(炭素イオン)線治療とTACEの背景をマッチさせた報告で,重粒子線治療の方が生存率,局所制御率ともに優れていたと報告した22)。また,Bushらは陽子線治療(33例)とTACE(36例)の予後を比較したRCTを行い,陽子線治療とTACEの短期の生存期間に差がなく,局所再発や有害事象が低率であることを中間解析の結果として報告した13)。また,Kimらは陽子線治療(72例)とRFA(72例)の予後を比較したRCTを行い,陽子線治療のRFAに対する非劣性を示した14)。しかし,切除やRFAと比べ他治療と直接比較した高いエビデンスの論文が少ないこと,粒子線治療は本邦では保険収載治療でないことなどから,放射線治療を推奨文に記載するには至らないと判断された。しかし放射線治療は他の局所治療の適応が困難な場合の一つの選択肢となりうる。投票結果◉◉推奨文「腫瘍径3cm以内では,肝切除または焼灼療法を推奨する。3cm超では第一選択CQ 1079行わないことを強く推奨する0%(0名)

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