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腫瘍径3cm以内では,肝切除または焼灼療法を推奨する。3cm超では第一選択として肝切除を推奨する。(強い推奨,エビデンスの強さA)推 奨■背 景 単発肝細胞癌に対する推奨治療について,これまでのエビデンスを基にどのような治療法が有効であるか検討した。■サイエンティフィックステートメント 第4版の検索後の2016年7月1日から2020年1月31日の間に発表された肝細胞癌に関する報告において,肝切除,焼灼療法,肝動脈化学塞栓療法(TACE),放射線治療,腫瘍数,腫瘍径,予後をキーワードとして論文1,149篇を抽出,49篇を一次選択して内容を検討した。肝細胞癌の治療に関する報告は非常に多いため,ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスなどエビデンスレベルの高い論文を中心に多施設共同研究やそれぞれの治療において重要な意味をもつ論文も加えて選択し,10篇を二次選択として採用した。 また,第4版で採用された10篇のうち,4篇を非採用とし,情報が更新されたものを1篇追加,検索ワードで検索されなかった,ないしは2020年1月31日以降の発表であるが重要な報告をハンドサーチで5篇追加し,計22篇を採用した。 肝機能が良好で遠隔転移,脈管侵襲を伴っていない肝細胞癌であれば根治治療の適応となる。肝機能不良例は移植または緩和ケアの適応となる。肝機能について,欧米ではChild—Pugh分類のB,Cおよび門脈圧亢進症を伴った症例では肝切除を除外し1),BCLCステージングシステムでも肝切除以外の治療を推奨しているが2),本邦のIshizawaらは門脈圧亢進症を伴った肝細胞癌に対しても小領域肝切除術が安全に施行できることを報告している3)。 肝細胞癌の治療において,肝切除とラジオ波焼灼療法(RFA)を比較したRCTはこれまでに8篇報告されている4—12)。過去の報告は研究デザインや背景因子に問題があり,第4版まではエビデンスとして採用されなかったが,今回追加された香港のRCT,ならびに本邦のRCTであるSURF試験において,肝切除とRFAの間で治療後の予後に差がないことが報告された。Ngらはミラノ基準内の肝細胞癌に対して,RFAの肝切除に対する優越性を示す研究デザインでRCTを行い,切除(109例)とRFA(109例)の予後を比較した。その結果は,全生存(p=0.531),無再発生存(p=0.072)とも予後に統計学的な有意差を認めず,RFAの切除に対する優越性は示さCQ 1077CQ単発肝細胞癌に対し,推奨できる治療法は何か?10

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