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第 4 章 循環器影 CT により,SVC 閉塞の程度や,閉塞の原因がformance status により決定する。重症度が Grade 4 の場合は,オンコロジーエマージェンシーと捉側副血行路は,怒張した静脈として前頸部や胸壁・腹壁に認められるが,静脈怒張の部位から,SVC の閉塞部位を大まかに推定することができる。静脈怒張が胸郭にとどまり腹部まで及ばなければ,血液は肋間静脈,内胸静脈,奇静脈を経てSVC に至っていると考えられ,閉塞部位は奇静脈合流部よりも頭側であると推定される。体表の胸腹壁静脈が怒張し,腹壁まで静脈怒張が及んでいれば,上半身の血液は表在静脈を介して IVC への迂回を余技なくされていると考えられるため,奇静脈合流部に閉塞があると推定される(図 1)。症状や特徴的な徴候により SVC 症候群が疑われ,画像診断には胸部造影 CT が用いられる。造血栓によるものか外部からの圧迫によるものか,側副血行路からの静脈還流について知ることができる。また,血管内治療を見据える場合,SVC の径と閉塞部位の長さ,その他の静脈の構造を知るのにも役立つ。治療の目的は,原疾患に対する治療と SVC 閉塞に伴う症状の緩和である。SVC 閉塞を伴う悪性腫瘍の予後は,SVC 閉塞を伴わない同様の組織型および進行度の腫瘍の予後と同等であるため,積極的な治療介入が望ましい。治療アルゴリズムを図 2 に示す 4)。SVC 閉塞に対する治療は,重症度,腫瘍の治療反応性,per-え,早急に介入し SVC 閉塞を解除する必要がある。SVC 閉塞部へのステント留置は,最も早く閉塞を解除できる。Grade 1 ~ 3 の治療方針は,外科的切除の必要性や化学療法・放射線療法への感受性により異なる。化学療法や放射線療法に感受性の高い腫瘍では,標準的な全身化学療法により 1~ 2 週間以内に急速な症状の改善を見込むことがで き る 5)。 有 効 な 治 療 が 限 ら れ る 症 例 で は,Grade 3 の場合にステント留置も勧められる。化学・放射線療法感受性ではないが,標準的な全身化学療法の適応がある場合は,まず標準的な全身化学療法を検討し,Grade 3 の場合にステント留置や早期放射線照射が検討される。標準治療として,化学療法後に外科的切除が計画されるがん腫では,外科治療の妨げとなるためステント留置を避けるべきである。血管内ステント留置によって 90 %以上の症例で症状が改善する。悪性腫瘍に伴う大静脈閉塞があり,標準的な治療により症状を改善できない症例を対象とした,ステント治療に関する第Ⅲ相試験が 2019 年にわが国で行われた。32 例がステント留置群とコントロール群に割り付けられ,ステント留置群では SVC 症候群に伴う症状の緩和が有意に得られたと報告され,その結果をもって大静脈用ステントが保険適用となった 6)。ステント留置に伴う合併症として,早期には感染症,出血や血腫形成,肺塞栓,ステント迷入,稀ではあるが SVC 穿孔や破裂があり,晩期には抗凝固療法に伴う出血があり,頻度は 3 ~ 7 %と報告されている 1)。ステントは,血栓や腫瘍増大により再狭窄することがあり,頻度は 13 %(0 ~ 40 %)と報告されている。しかし,再狭窄した場合でも,血栓除去や再ステント留置によって再度開存させることができる 7)。放射線療法は SVC 閉塞による症状を改善する3 . 診断4 . マネジメント722 ステント3 放射線療法1 治療の流れ

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