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中枢神経原発胚細胞腫瘍(CNS germ cell tumor)表1 中枢神経原発胚細胞腫瘍の腫瘍マーカー基準値2は病理学的にNGGCTに分類される成熟奇形腫は,臨床的予後を考慮して,ジャーミノーマとともに予後良好群として分類されている。 中枢神経原発胚細胞腫瘍における腫瘍マーカーの値と予後との関連については,NGGCTにおいてHCGの値による予後の差が有意であるとする報告はないが,AFPの値が高い症例は予後が悪いとされ8,9),特に1,000 ng/mLを超える症例は有意に予後不良であると報告されている8)。一方で,欧米のNGGCTの基準では,HCG産生を伴うジャーミノーマも含まれており,HCG産生を伴うNGGCTの臨床的予後が実際のNGGCTの予後を反映していない可能性があり,解釈に注意を要する。 また,HCGの測定法は国際的に必ずしも統一されておらず注意を要する。HCGは2つのサブユニット(α,β)で構成されホルモンとして機能するが,αサブユニットのアミノ酸配列がLH(黄体化ホルモン),FSH(卵胞刺激ホルモン),TSH(甲状腺刺激ホルモン)と共通の構造をしており免疫学的に交差するため,HCGの測定にはβサブユニットを認識する抗体を用いて測定する。一般に妊娠などの正常な状態ではα,βサブユニット双方からなるインタクトHCGのみが産生されるが,胚細胞腫瘍など腫瘍性疾患ではβサブユニットだけのHCGなどさまざまな非機能的なHCGが産生される。測定キットによって測定しているものが異なり,測定しているものがα,βサブユニットからなるインタクトHCGなのか,遊離したβ-HCGのみを測定しているのか,あるいはインタクトHCGとβ-HCGジャーミノーマNGGCT病理学的に絨毛上皮腫,卵黄囊腫瘍,胎児性癌を確認もしくはAFP>25 ng/mLHCG>50 IU/LHCG(あるいはβ-HCG)産生能にかかわらず,ジャーミノーマ細胞のみにて構成される腫瘍(ただしSTGCは含まれていてもよい)中等度悪性群a)未熟奇形腫b)悪性転化を伴う奇形腫c)混合腫瘍のうち,ジャーミノーマ+奇形腫およびジャーミノーマあるいは奇形腫が主体で,少量の高度悪性群要素を含むもの高度悪性群a)絨毛上皮腫b)卵黄囊腫瘍c)胎児性癌d)混合腫瘍のうち,上記3腫瘍要素が主体のものe)病理学的診断は得ていないが,治療前の血清HCG値2,000 mIU/mL以上,あるいは血清AFP値が2,000 ng/mL以上の症例病理学的に絨毛上皮腫,卵黄囊腫瘍,胎児性癌を確認もしくはAFP>10 ng/mLβ-HCG>100 IU/L病理学的に絨毛上皮腫,卵黄囊腫瘍,胎児性癌を確認もしくはAFP>25 ng/mLβ-HCG>50 mIU/mL病理学的に絨毛上皮腫,卵黄囊腫瘍,胎児性癌を確認もしくはAFP>5 ng/dLβ-HCG>100 mIU/mLSIOP(Calaminus8))病理学的に確認かつAFP≦25 ng/mLHCG≦50 IU/LCOG(Goldman9))病理学的に確認 かつAFP≦10 ng/mLβ-HCG≦100 IU/L(Matsutani1))KoreaJapan(KSPNO-S05311))病理学的に確認かつAFP≦25 ng/mLβ-HCG≦50 mIU/mLTaiwan(Tai-Tong Wong12))病理学的に確認 かつAFP≦5 ng/dLβ-HCG≦100 mIU/mLCQ 1 57

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